第72話

真弓のオフィスを出た後、瑠璃子が一夫に電話して、それから車で達也の病院へ向かった。

長い間チャンスを待っていたが、ずっと達也に近づくチャンスがなくて、突然に行くと嫌われると思った。今回、達也が患者となり、やっと彼に近づく機会を見つけ出した。

男心について彼女はマスターだった。

ドアをノックして彼女が入った。

「樋口さん、お早うございます」瑠璃子がユリの花束を持って微笑んだ。

病床に寝転がっていても格好良すぎる男だった！

達也の目つきは冷たかった。

「私は鈴木瑠璃子で、鈴木真弓の実の妹です。」瑠璃子が急いで自己紹介をした。

「異母姉妹」達也が訂正した。

瑠璃子が少し不味くなったが、すぐ立ち直った。「さてと、今日は姉さんが忙しいので、彼女に頼まれて私が見舞いに来ました。星野グループの工場のワーカーが樋口さんを傷つけたことに対して、私は星野グループを代表してお詫び申し上げます。本当に申し訳ありませんでした」

達也が瑠璃子を見つめて言った。「真弓に頼まれて見舞に来たって？」

「怒らないで、姉さんが星野グループを引継いだばかりで、忙しくて、本当に抜け出せない仕事が沢山あります」瑠璃子が真弓のことを守ろうとした。

当時、彼女は真弓の手から文哉を横取りすることができたので、今度、達也を横取りできると確信していた。

「本当か?」達也の口調は明らかに皮肉だった。「僕の記憶が正しければ、君が姉婿を横取りした。お姉さんがまた君に頼みことすると思うか？」

容赦なく暴いてやって、直接パンチを食わせたようだった。

真弓は急いで説明した。「それは違いますよ。私と姉さんと文哉君のことで誤解させて......」

「僕は君と文哉のことに少しの興味もない」達也が直接彼女の話を中断した。

「僕は安静する必要があり、お邪魔しないでほしい」

明らかに彼女を追出した。

瑠璃子の顔色が悪くなり、彼女は今日わざわざ綺麗にしてきたのに、達也が目もくれなくて、直接追出してきた。

「樋口君、お邪魔してごめんなさい。よく安静してください。これで失礼します」瑠璃子が心の不快を抑えて、急がば回れと思った。

今の達也は真弓に専念していて、積極しすぎると嫌われる。

当時、文哉も同じだった。

文哉の実例があって幸いと彼女がふと思った。

「さてと、この花をお気に入っていただければ嬉しい