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第37話

「チェッ!」

真弓が軽蔑的な笑みを浮かべて、彼女たちの前から去って行った。

紀子が真弓の傲慢な姿を見て、叫びたくなった。

「もういい!」文哉は暗い顔で全ての不満を紀子に向けて言い出した。「裏仕事ばっかりして、みっともないよ!瑠璃子、紀子の真似をしないでね!」

一言を残して、文哉が怒って出て行った。

紀子の目が赤くなった。

兄さんにこのように叱られたなんて?!しかも真弓を告発したのは瑠璃子のアイディアだった。

彼女は激しく瑠璃子に聞いた。「どうして説明してくれなかったの?!」

「私、私は......」瑠璃子は悔しくなった。「反応できた前にお兄さんが出て行ったが」

紀子が苛立って、悔しい気持ちで出て行った。

真弓に廻った出来事が宴会に何の影響も出なかった。

高官や実業家達が話しながら樋口旦那様の出席を待っていた。

入り口から突然人群れが入って来た。

皆が視線を向いて言った。

黒いスーツをして、気迫があった。

会場が瞬く間に静まり返った。

ここに達也を見た人はごく僅かだった。皆が疑っていた。達也が来たとは誰も確定できなかった。

文哉だけが前に出て迎えに行った。

「樋口社長」皆の前で、自然に手を伸ばして、横山に挨拶をした。

横山が少し驚きした。この人が可笑しいと思った。

彼はボスを振り返って見た。

文哉も彼の視線に辿ってあの人を見つめた。

一瞬で顔色が変わった。

その消防士が達也の傍にいて、達也のボディーガードとなったのか?!

達也は横山に合図を送った。

横山が文哉と握手をした。

そして、何も言わなかった。続けて皆の前で会場のビップルームに向かった。

離れた後。

宴会会場は元通りに賑やかとなった。

文哉は皆の注目を集めた。親友の御曹司達がお世辞を言った。「文哉君、樋口社長を紹介することを忘れないでね」

「会場では、文哉一人だけが樋口達也を知っているようだね!」

「樋口社長とパイプが出来たら、僕たちを忘れないでね」

文哉は表で謙遜したが、心では喜んでたまらなくなった。

樋口グループは北城で財閥のトップで、財産は数えきれないほどあり、後ろ盾も凄くて、北城では皆が関係を構築したい存在だった。

文哉が今晩達也と初めて挨拶する人で、光栄な存在となった。

宴会後、このことが世間に知られたら、千葉グループの価値はまた上
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