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第34話

豪華な宴会ホールにはすでに満員だった。

北城の上流社会の大物はほぼ全員が集まった。

瑠璃子は興奮して一夫と菫及び辰巳と一緒にホールに入った。

樋口家の祝宴では、普通の会社だけでなく、財閥の子女でも、両親に愛されない場合、このような宴会に入ることができなかった。ここに入れることは、身分と地位の象徴で、大きな名誉だった。

「瑠璃子」遠くから紀子が呼んだ。

「お父さん、友達がお呼びです」

「行っていいよ」一夫が念を押した。「気を付けてね。今日の宴会は通常とは違う、礼儀正しくしなさい」

「心配しないで、瑠璃子は子供の頃から物心がついたから」菫が誇らしげに言った。

一夫も満足そうにうなずいた。

瑠璃子は嬉しそうに紀子に向かった。

紀子は文哉の隣に立っていた。その時、文哉の周りにトップ社会の御曹司で囲まれて、皆が若者だった。

「文哉君今晩は」瑠璃子が率先して挨拶した。

文哉は瑠璃子に微笑んだが、あまり親密な動きを見せなかった。

真弓と別れたのを発表してないので、瑠璃子との関係は公の場で公開できなかった。

二人は距離を置いてた。

「文哉君、樋口の御曹司に会ったことがあると聞いた!」ある御曹司が文哉に聞いた。

「あったけど」文哉が回答した。

「やはり文哉君だ。面子があるね!」御曹司が嘆いた。「この前、挨拶に行ったが、直接断られたよ」

「僕もだ」もう一人の御曹司が言った。「樋口の御曹司はどんな顔しているかも知らないよ」

「文哉君に叶わないな」もう一人の御曹司が言った。「文哉君は自力で千葉グループを挽回して、北城で名の聞こえる大物になった。僕たちと違って、家族に何かあったら、僕達も同時に葬ることになる」

皆が笑った。

冗談話だけど、文哉は皆に高く褒められた。

「これから樋口御曹司に会ったら、僕たちに紹介してね文哉君。父に言われたの。若者同士なので、樋口さんと知り合って、多く教えてもらえって」

「そうよ。親友だから、是非僕達に紹介してね」

文哉は恥ずかしくなった。前には達也に挨拶に行った時、遠く離れたところでちらりと見ただけだが、会話を交わしたこともなかった。でも、ここまでお世辞を言われたので、彼は承諾するしかなかった。「いいよ。樋口社長が時間があれば問題ないよ」

「約束だぞ」

「決まりだ」

皆が言いあってとても賑やかだった。
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