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第27話

認めたくなかったけど。

「ありがとう」真弓は和彦に優しく微笑み、振り返って紀子を見て言った。「カードをどうぞ」

紀子は一瞬怒って、顔が青白くなった。

真弓が着れた、本当に着れた!

「負けたら払えよ。逃げる気か?」真弓が揶揄った。

紀子が歯を食いしばった。

皆の前で賭けをしたので、約束を破ると、面子が潰される。

「いくらだ!?」紀子が歯を食いしばった。

「千葉さん、このドレスは手作りのオーダーメイド品で、1.6億円になります」店員さんが回答した。

「なに?」紀子が聞き間違ったと思った。

普通のハイエンドのオーダーメイドなら、精々百万円だった。

このドレスは1.6億円なんて?!

「これはフランス製のオーダーメイドで、ドレスには500個以上のダイヤモンドが付けられて、全てトップマスターによって手作りされた」スタッフが説明した。ついでに領収書を取り出して見せた。「これはメーカの内訳書ですが、千葉さんに見て頂きます」

紀子の顔が暗くなった。

1.6億円を払って一回だけ使うドレスを買うなんて、自分にでも惜しいと思い、他の人に買ってあげるなど、猶更だった。

「こんな高いドレスを買うお金があるの?」紀子が真弓に詰問した。

真弓はこのドレスが高いと思ったが、1.6億円になるとは思わなかった......

「それはこっちの事情だ。紀子が約束を守ってお金を払って、包んでもらって私が持ち帰るだけだ」真弓が淡々と言った。

紀子の目が真っ赤となった。

彼女のカードにはそんなお金がなかった。

ここ数年、エンタメ業界で結構儲かったし、そして家族からもお金を沢山もらったが、彼女は貯金の習慣がなくて、カードには精々2000万円だった。

真弓も買えるもので、自分が買えないとはどうしてもこの事実を認めたくなかった。

「僕のカードを使って」文哉が言った。

紀子が呆気にとられた。

瑠璃子が明らかに興奮した。「文哉君、1.6億円は小さな金額ではないだよ......」

「これは真弓と別れた慰謝料と見て払う。今後、妹と瑠璃子を2度と苛めないでほしい」文哉が堂々と言った。

真弓が笑った。文哉に向かって冷たい口調で揶揄った。「このドレスは賭けで負けて買ってくれたものだ。もし慰謝料を払いたくなら、和彦のオーダーメイドのタキシードを払ってくれよ!」

「お前は図々しいだ
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