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第17話

私が松田泰雄に会ったのは、駐車場の隅っこだった。

足元にはタバコの吸い殻が散らばっていた。

音を聞いて彼は顔を上げた。

明滅する灯りの下で、彼の顔は以前よりずいぶん痩せていて、目は真っ赤になっていた。数日間、寝ていない様子だった。

私は彼から約50メートル離れたところに立ち止まった。

彼は両手をポケットに突っ込み、少しうつむいて私を見ていた。

「どうした?原寿光と付き合って、もう私に近づこうともしないのか?」

私は動かず、松田泰雄に尋ねた。

「私の兄はどこ?彼を傷つけたら、一生許さない」

松田泰雄の口元が弓なりに曲がり、彼は直接笑った。

「谷口幸優、私はもう終わりだ。何も怖くない」

松田泰雄は煙草を私に向けて指差しながら言った。

「本当は原寿光を倒して、お前を取り戻したかった。でも今はもう手遅れ。私はお前の兄を誘拐したわけじゃない。お前を騙してここに呼んだだけなんだ……一緒に地獄へ行こうとしているだけだ」

そう言うと、松田泰雄はすばやく前に進み出た。

私は彼の突然の行動に驚いた。

彼は私の腕を掴んで、車の中に押し込もうとしていた。

私は必死に抵抗し、彼の手首に噛みつこうとした。

しかし、松田泰雄は全然動かなかった。

本当に連れ去られると思ったその時、「幸優ちゃん」と後ろから声が聞こえた。

原寿光の声だった。

私は力を込めて振り返った。

原寿光の後ろには警察がいた。

原寿光は叫んだ。

「松田泰雄、何を考えている?誘拐は今の罪よりずっと重い」

「そうか?」

松田泰雄は軽く答えた。

「それよりも、私は幸優ちゃんを手に入れられない方が怖い」

そう言うと、彼は上着の内ポケットから銃を取り出し、その金属の銃口を私の額に押し付けた。

「幸優ちゃん、先に逝って。すぐに逝くから」

「松田泰雄!」

原寿光の声は震えていた。

警察は緊張感を持って、松田泰雄をいつでも射殺できる準備をしていた。

松田泰雄は私の耳元で優しく囁いた。

「ごめん。来世で待ってて。必ず大切にするから」

そう言うと、彼は私を押した。

その瞬間、後ろで銃声が響いた。

振り返ると、松田泰雄が引き金を引いて自殺した。

血が流れ出し、前方へと広がっていった。

赤い血は目に刺さるほど鮮やかだった。

原寿光は私に駆け寄り、私を抱きしめた。

「幸優ちゃ
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