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第10話

「谷口ちゃん、早く見て……ネットですぐに昔のことが掘り返された!」

私は荷物を置いて、スマホを取り出した。

トレンドのトップに、#谷口幸優松田泰雄 檀木の数珠#とあった。

私はこれらを無視すれば自然に熱は下がるだろうと思っていた。

しかし、思いもよらず、ファンたちが拡大鏡を持ってその写真や動画をじっくり観察しているのだ。

私がお寺で雪の中祈願して求めた数珠が、松田泰雄が右手首にずっとつけていたものと同じだと発見されてしまった。

世論は一気に沸騰した。

この話題の熱は急激に上昇した。

すぐに、ネットユーザーやマーケティングアカウントがさらに多くの手がかりを掘り出してきた。

松田泰雄が誘拐されたのは2年前で、ちょうど私がお寺で祈願した日だった。

さらに、私たちの一連のツーショットも。

最も古い写真は、なんと十年以上前にさかのぼることができた。

コメント欄はほとんどが私の味方だった。

みんなが松田泰雄を責め、私を捨てたと非難していた。

原寿光が私を彼の別荘に連れて帰ると、テレビをつけた瞬間、松田泰雄と宮脇圭織が記者に囲まれている生中継が映し出された。

原寿光はテレビを消すことを選ばず、私と一緒に見ていた。

テレビの中では、記者のナレーションが流れている。

「今、松田氏グループの前にいます……松田さんは先ほど、宮脇さんと外から戻ったばかりで、ネットでの議論にはまだ気づいていないようです。ちょうどいい機会ですので、インタビューしてみましょう……」

突然、記者たちが一斉に駆け寄ってきた。

前に押し寄せ、マイクを松田泰雄の前に差し出し、聞いた。

「松田さん、以前ずっとつけていた最近外した数珠は、秘書の谷口さんから送られたものですか?」

松田泰雄は一瞬呆然とした。

隣の宮脇圭織も顔色が良くなかった。

松田泰雄は眉をひそめ、何かを思い出したようだ。

次の瞬間、宮脇圭織が話を引き継いだ。

「これは松田さんのプライベートな問題ですから、聞かない方がいいと思います」

生中継の画面には、松田泰雄の会社のセキュリティが近づき、インタビューを終わらせようとしていた。

しかし、記者たちは宮脇圭織の一言では簡単に引き下がることはなかった。

野球帽をかぶった女性記者がマイクを持って、後ろで立っていた。

彼女は声を張り上げて叫んだ。

「その数珠
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