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第12話

原寿光が何か質問してくると思っていたが、彼は私に水を注いで渡してくれた。

その時、彼は普通の口調で聞いた。

「いつ、市役所に行く?」

「そんなに急ぐの?」

「そうだよ。私たちのような家庭では、内部の争いがとても激しいから、少しでも遅れると、他の親族が先に行動する可能性がある」

原寿光はとても真剣に言った。

まるで私が彼の将来を決めるかのように。

彼が先に手を打ってくれたので、私もあまり多くを言えず、彼に日取りを選んでもらうことにした。

……

原寿光はまだ日を選んでいなかったが、病院から連絡が入った。

どうやら、私の兄に対する特効薬の研究が進んだらしい。

しかし、残念なことに、その薬を研究している会社は松田泰雄の傘下だった。

研究コストが非常に高いため、現在の薬の量は限られているが、需要は非常に大きい。

お金があっても手に入らないということだ。

松田氏は不必要なトラブルを避けるため、薬のオークションを開催することにした。

そうすれば、彼は利益を得られ、宮脇圭織との結婚に頼らずとも会社の資金を運営できるかもしれない。

兄は多くの苦しみを受けてきたので、再会した今、この薬はどんな困難があっても試してみたいと思った。

原寿光は私の気持ちを理解しているのか、証明書の件を後回しにして、薬品の手配を手伝ってくれることになった。

夜、食卓で彼は言った。

「明日はオークションだが、急に別の都市に出張しなければならなくなった。明日は私が手配した人が連れて行くから」

私はこの件がうまくいくとは思っていなかった。

結局、松田泰雄は以前に兄の件で私を脅したことがあったからだ。

「何か手伝うことはありますか?」

「大丈夫、全て手配済みだ」

翌日の朝、一台の黒いビジネスカーが私をオークション会場に連れて行った。

原寿光が手配した人がそこに待っていると言っていた。

しかし、来たのは彼らの会社の副社長、中島政浩だった。

彼は四十代に見え、明らかに会社の技術者として過労気味で、眼鏡をかけていて、少し髪が薄くなっていた。

私は少し気まずくなり、

「副社長、わざわざ来ていただいてありがとうございます」

と言った。

彼は笑い、「社長とは仲がいいから、来るのは当然だ」と言った。

その時、ちょうどオークションが始まった。

彼は私を見て、「中に入っ
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