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第7話

7年前、大学卒業間近に兄が私を見つけ出したときのことを思い出す。

私はずっと、彼も両親と一緒に遠くで亡くなったと思っていた。

しかし、彼はその間ずっと私を探し続けていたのだった。

松田泰雄の家と一緒に山崎市に引っ越してから、私は以前の知り合いとは完全に連絡を絶っていた。

兄はやっとの思いで私を見つけ出したが、当時彼は重度の腎臓病を患っていた。

松田泰雄の助けで、彼は腎移植手術を受けたものの、手術中に問題が発生し、植物人間となってしまった。

その後、彼の命は薬でしか維持できない体となり、その薬は全て高価な輸入品だった。

当時、大学を卒業したばかりの私には、その費用を負担することができなかった。

仕方なく、私は松田泰雄の条件を飲むしかなかった。

彼のそばにいること、そして彼の女でいること。

そうして7年が過ぎた。

彼がいつか私を妻に迎えてくれると信じていたが、結局、彼にとって私は、いつでも呼び出せて、すぐに捨てられるおもちゃに過ぎなかった。

それも、最も価値のない玩具だ。

私は唇を噛みしめ、再び歩き出した。

今回は、どんな結果になろうとも、自分の力で何かを変えてみせる。

しかし、現実は残酷だった。荷物をホテルに置いたばかりの時、病院から電話がかかってきた。

松田泰雄は本当に兄の薬と点滴を止めてしまったのだ。

点滴なしでは、兄の体はすぐに危険な状態になってしまった。

もう一度松田泰雄に頼ることはしたくなかった。

絶望的な状況の中、私は原寿光のことを思い出した。

彼にもらった名刺を手に取り、電話をかけた。
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