ボスのお子様を拾ってから身を任せた のすべてのチャプター: チャプター 31 - チャプター 40

100 チャプター

第31話

「......」達也がショートメールをみえなかったと思った。「それで、何しに来たの?」「食事だよ」真弓は本当に返す言葉を失った。 「トイレはどこ?」達也が聞いた。「寝室の中に」一人で住んでいたので、真弓は客用のトイレを残さなかった。客間と貫通して、透明の書斎にした。達也は寝室に入り、ベッドでぐっすり眠っている和彦を一瞥して、トイレに入った。振り返った瞬間、彼女は突然何かを思いつき、達也がドアを閉めた瞬間にバスルームに駆け込んだ。達也は眉を引き上げた。「鈴木さんこれは......」真弓は顔が少し赤くなった。シャワーを浴びてから、下着も含め、着替えた服がまだバスルームに置いてあった。彼女は服をつかみ、後ろに隠した。達也がそれをちらりと見て、微笑んだ。服を手に取り、見向きを変えて、真弓が出て行った......「鈴木さん」達也が彼女を呼び止めた。真弓が振り返って見た。直ぐ顔が赤くなった。 達也がブラジャーを持って、彼女に見せかけた......彼女がさっき不注意で地面に落ちた。達也が拾ってくれたのか?!拾っていいと拾っていけないものがあるって彼は知らなかったのか?見てはいけないものを見ないって常識がないのか?真弓が駆けつけて奪い取って逃げ出した。彼女は明らかに耳まで赤くなった。 ......達也がバスルームから出て来た。真弓は今、居間のソファに座って、落ち着きを取り戻そうとした。 大人同士で......恥ずかしがる必要はない。彼女は立ち上がり、達也を見送ろうとしたが、彼がヘアドライヤーを手に持って出て来た。真弓は驚いた。達也は彼女に近いソケットを見つけて差し込んだ。「乾かしてやる」「......」「和彦の世話をしてくれて、そして夕飯を作ってくれて、ありがとう」 「感謝ならドレスは遥かに度を越えたよ」真弓はぶっきらぼうに言った。 「店から返金のお知らせが届いた」達也は言った。「他人が買ったドレスを着てもらいたくないだが......合格の商人なら、最大の剰余価値を断れない」得を得たとしても、堂々と言えるこの男を真弓は感心した。達也はそれ以上言わず、直接真弓の髪をほどいて、ドライヤーを掛けた。二人の距離は近かった。部屋は突然静かになった
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第32話

長い間、彼は家族の背景について言ったことがなかった。ただ樋口達也と伝えただけだった。「そうだけど」達也は認めてから聞いた。「いつ分かったの?」「ついさっき」真弓が回答した。「でも、難しい事ではない。樋口で、シングルファーザーで、大金を使いっぱなしだった。唯一相応しくないのはおそらく......」達也は眉を引き上げた。 「噂よりずっとハンサムだ」 「褒めてくれてありがとう」 「......」彼女はただ事実を述べただけだった。 「君を騙すつもりはない」達也はぶっきらぼうに言った。 彼女は実に気にしていなかった。 二人はとことんまで話し合い程の仲じゃなかった。今日聞いたのは、17日が丁度樋口旦那様の70歳の誕生日と重なったから、少なくとも何のために時間を空くのかを知るべきだと思った。「それに、消防士だと言われたので、嘘を言ったと思われないように、17日に改まって自己紹介しようと思った」達也は生ぬるい口調で言って、やはり少し皮肉だった。もちろん、彼が揶揄った相手の人を知っていた。「彼は目が眩んだ。いつもこんな感じだ」達也は笑い、文哉への評価を満足したようだった。「もう遅いし、お休み!和彦のことを宜しくね!」「気をつけて」達也を見送って、ベッドに戻った。久しぶりに、彼女のベッドに一人が増えた。奇妙に思うが、不快ではなかった。薄明かりの下で眠っている和彦の小さな頬を見て、彼女の心は温まった。翌日。真弓は二人前の朝食を作ったトースト、オムレツとミルク。和彦は喝采してくれて、上手いかどうか別に、オムレツが少し焦げたにもかかわらず、美味しいと言ってくれた。褒められて真弓は上機嫌となった。二人が朝食を食べ終わったばかりに、ドアベルが鳴った。ドアを開けて、里見さんが外でびっしりと立っていた。「鈴木さん、若旦那様は重要なお客さんがあって忙しいから、代わりに和彦を迎えて家に帰ります」「和彦は幼稚園に通ってないの?」真弓は聞いた。「和彦が帰国したばかりで、幼稚園にまだ通ってないです。でも、9月から和彦が直接小学校に入学する予定です。若旦那様が既に私立貴族小学校を見つけました」里見が報告した。「......」彼女はただ気軽に聞いただけで、あまり多く言う必要はなかった。「この中に
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第33話

「本当ですか?」 「本当よ」明日、樋口旦那様の70歳の誕生日だった。 肯定的な答えを得て、和彦が喜んで里見について出て行った。真弓も急いで着替えて化粧して仕事に出かけた。オフィスに入ると、金子和也が招待状を持ってきた。「樋口グループの旦那様の誕生日祝宴が明日の夜に行われるが、会長に出席して頂くことになりました」真弓はさりげなく招待状を手に取り、開けて中身を見ると、彼女の名前が書かれた。鳳凰が飛んだような字を見て、なぜかわからないが、それが間違いなく達也が書いたと思った。オフィスのドアが突然開けられた。 瑠璃子が入って来た。「姉さん、用事があります」和也に出てもらい、ついでに、招待状を片付けた。 「昨日、私が私用で出かけて、会社のOAシステムに欠勤の通報が出された。ここまでする必要はないでしょう?!」瑠璃子が怒りを抑えられなかった。出勤してすぐに、OAシステムから通報が出されて、苛立って堪らなくなった。堂々とした社長が欠勤で通報されて、冗談じゃないか?!「会社にはルールがある。平等に扱わなければいけない」 「昨日、姉さんも欠勤したじゃないですか?」「私の会社だ」真弓は冷たく瑠璃子を見つめて言った。「つまり、会社のルールは私に無効だ」瑠璃子が怒って顔が青ざめたが、反論することはできなかった。「受け入れられない場合、星野グループを辞めてもいいよ」真弓の話は冷たかった。機会を見つけて私を追い出すのか?!そんな罠に引っかからないよ!「昨日、無断欠勤で私が悪かったです。二度としません」瑠璃子は譲歩しなければならなくなった。真弓は冷笑した。「出ていいよ」瑠璃子は歯を食いしばって見向きを変えて出て行った。目に凶悪な光が光らせた。この間、真弓から沢山の不満と屈辱を受けていた。必ず倍返ししてやる。オフィスに戻ると、瑠璃子の顔色がまだ悪かった。電話が鳴って、彼女は落ち着きを払って電話に出た。「紀子」「明日、真弓が樋口家の誕生日祝宴に行くの?」瑠璃子はしばらく考えて答えた。「彼女を連れて行くとお父さんから聞いてない。お父さんはいつも面子を重視しているから」と言うと、真弓を連れて行くとお父さんの恥になるのだ。「そして、樋口家の宴会のレベルは北城で一番高いので、トップじゃない企業は招待リ
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第34話

豪華な宴会ホールにはすでに満員だった。 北城の上流社会の大物はほぼ全員が集まった。 瑠璃子は興奮して一夫と菫及び辰巳と一緒にホールに入った。樋口家の祝宴では、普通の会社だけでなく、財閥の子女でも、両親に愛されない場合、このような宴会に入ることができなかった。ここに入れることは、身分と地位の象徴で、大きな名誉だった。「瑠璃子」遠くから紀子が呼んだ。「お父さん、友達がお呼びです」「行っていいよ」一夫が念を押した。「気を付けてね。今日の宴会は通常とは違う、礼儀正しくしなさい」「心配しないで、瑠璃子は子供の頃から物心がついたから」菫が誇らしげに言った。一夫も満足そうにうなずいた。 瑠璃子は嬉しそうに紀子に向かった。 紀子は文哉の隣に立っていた。その時、文哉の周りにトップ社会の御曹司で囲まれて、皆が若者だった。「文哉君今晩は」瑠璃子が率先して挨拶した。文哉は瑠璃子に微笑んだが、あまり親密な動きを見せなかった。真弓と別れたのを発表してないので、瑠璃子との関係は公の場で公開できなかった。二人は距離を置いてた。「文哉君、樋口の御曹司に会ったことがあると聞いた!」ある御曹司が文哉に聞いた。「あったけど」文哉が回答した。「やはり文哉君だ。面子があるね!」御曹司が嘆いた。「この前、挨拶に行ったが、直接断られたよ」「僕もだ」もう一人の御曹司が言った。「樋口の御曹司はどんな顔しているかも知らないよ」「文哉君に叶わないな」もう一人の御曹司が言った。「文哉君は自力で千葉グループを挽回して、北城で名の聞こえる大物になった。僕たちと違って、家族に何かあったら、僕達も同時に葬ることになる」皆が笑った。冗談話だけど、文哉は皆に高く褒められた。「これから樋口御曹司に会ったら、僕たちに紹介してね文哉君。父に言われたの。若者同士なので、樋口さんと知り合って、多く教えてもらえって」「そうよ。親友だから、是非僕達に紹介してね」文哉は恥ずかしくなった。前には達也に挨拶に行った時、遠く離れたところでちらりと見ただけだが、会話を交わしたこともなかった。でも、ここまでお世辞を言われたので、彼は承諾するしかなかった。「いいよ。樋口社長が時間があれば問題ないよ」「約束だぞ」「決まりだ」皆が言いあってとても賑やかだった。
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第35話

「もしかして、胡麻化して入ったのか?」紀子が思いついた。瑠璃子が興奮して、非常に可能性があると思った。二人は反応する前に、文哉が直接真弓に向かった。真弓は宴会場の中を歩いた。 無数の視線が自分に向けたのを気づいたが、驚きもしなかった。ふと文哉を見かけた。「どうして来たの?」文哉が声を低くして聞いた。「ここは樋口の宴会現場だ。千葉グループの宴会じゃない。私に詰問する資格はないと思う」真弓が揶揄って言った。「鈴木家に連れられてきてないし、星野グループも招待状をもらえないし、どうやって入ったの?」「だから何を疑ったの」「真弓、宴会に胡麻化して入るなど、みっともないことだよ」文哉が責める口調で言った。文哉に言われて、真弓の顔色も暗くなった。「まあいい」文哉が突然妥協して、優しく言った。「僕の傍についてきて、聞かれたら、僕が連れてきたと言っとくよ。何と言っても、部外者から見れば、僕たちは恋人同士だから」そう言って、文哉が手を伸ばして真弓の手を繋ごうとした。真弓に避けられた。文哉の顔色が一瞬変わった。「真弓、気を利かせてよ、君を助けようとしたぞ」「ご厚意有難う」真弓が冷たく断った。「君は自分の事に気使ってよ」話し終わって、真弓が文哉の前から去って行った。文哉の顔色が暗くなった。真弓を見つめて、完璧なスタイルに合わせたロングドレスの引き立てで、真弓が花のように美しかった。「耐えられない」紀子が兄さんと真弓の動きを見て言った。「兄さんは真弓を助けようとしたのかよ!」瑠璃子も更に悔しかった。すでに分かれたのに、文哉はまだ真弓のことを諦めなかった。真弓に文哉を取り戻せないと決意した。「紀子」瑠璃子が紀子の耳に近寄って言った。「真弓が胡麻化して入ったら、私たちはこうすれば......」瑠璃子の話を聞いて、紀子の顔に険悪な微笑みが浮かんだ。二人がホールの入り口に向かった。真弓が宴会会場の奥に行って、シャンパングラスを持って少し味わった。冷たい視線でハイエンドの宴会の様子を一通り見ていた。確かに権力者と実業家ばっかりだった。中には新聞報道でしか見たことのない人物も沢山いた。勿論、瀕死状態の千葉グループへの融資のために、鉄面皮になって付き合った沢山の人もいた。彼女は落ち着いて
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第36話

「文哉の彼女じゃないか?」傍の御曹司が急に言い出した。文哉と仲がいいから、真弓と数回会ったことがある。真弓がきれいだと彼はとっくに分かったが、今宵の真弓がダントツに美しく見えたので、分からないほどだった。「文哉と一緒に来ただろうか?文哉を探してくる」御曹司が優しかった。美しい人が皆に好かれるから、彼は真弓が可哀想と思った。「文哉がどうかしたのか、こんな女に見惚れたなんて!」近くの女がまた揶揄い始めた。「この前、二人の婚約パーティーが火事で台無しになったじゃないか?神様も文哉がこんな女に騙されることを見てられなくなった......」真弓は静かに聞いて、何の反応もなかった。すでに慣れたので、どうでもいいと思った。頭を下げて招待状を取り出そうとした。文哉が御曹司の親友に連れられて来た。「千葉さん」スタッフが敬意を払って話しかけた。「鈴木さんが招待されずに入って来たと報告されたので、彼女は千葉さんの連れでしょうか?」「真弓、どうして来たの?」文哉が不思議そうに聞いた。「体の具合が悪くて来ないと言ったじゃないか?」明らかに、真弓を彼が連れて来たのを否認した。真弓は冷笑した。瑠璃子が元々緊張して、文哉が真弓を助けるのを受け入れたくなかった。文哉の話を聞いて、瑠璃子の気分がすぐ良くなった。これで真弓が胡麻化して入ったことを証明したじゃないか!世間に知られたら、真弓は面子が潰れるだろう!「本当に胡麻化して入ったのか?可笑しい!」近くの女がさらにでたらめを言い始めた。「真弓はまさか上流社会の笑われ者だ......」「上流社会と言えるのか?既に鈴木家に追い出されて、もし、文哉と付合いしなかったら、相手にされる人はいなくなるわ......」「早く追い出してよ、みっともない!」スタッフが文哉の話を聞いて、直接真弓に言い出した。「申し訳ありません。鈴木さん、招待状がないと宴会に出席できませんので、こちらへどうぞ......」話が終わらなかった。真弓が金色の招待状を取り出してスタッフに見せた。目前の全ての人達が凍り付いた。真弓が本当に招待状を持っていたのを信じられなかった。現場の女達がほとんど両親か旦那と一緒に来たのだ。単独で招待状をもらったことがなかった。「本物かどうか調べてみ
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第37話

「チェッ!」真弓が軽蔑的な笑みを浮かべて、彼女たちの前から去って行った。紀子が真弓の傲慢な姿を見て、叫びたくなった。「もういい!」文哉は暗い顔で全ての不満を紀子に向けて言い出した。「裏仕事ばっかりして、みっともないよ!瑠璃子、紀子の真似をしないでね!」一言を残して、文哉が怒って出て行った。紀子の目が赤くなった。兄さんにこのように叱られたなんて?!しかも真弓を告発したのは瑠璃子のアイディアだった。彼女は激しく瑠璃子に聞いた。「どうして説明してくれなかったの?!」「私、私は......」瑠璃子は悔しくなった。「反応できた前にお兄さんが出て行ったが」紀子が苛立って、悔しい気持ちで出て行った。真弓に廻った出来事が宴会に何の影響も出なかった。高官や実業家達が話しながら樋口旦那様の出席を待っていた。入り口から突然人群れが入って来た。皆が視線を向いて言った。黒いスーツをして、気迫があった。会場が瞬く間に静まり返った。ここに達也を見た人はごく僅かだった。皆が疑っていた。達也が来たとは誰も確定できなかった。文哉だけが前に出て迎えに行った。「樋口社長」皆の前で、自然に手を伸ばして、横山に挨拶をした。横山が少し驚きした。この人が可笑しいと思った。彼はボスを振り返って見た。文哉も彼の視線に辿ってあの人を見つめた。一瞬で顔色が変わった。その消防士が達也の傍にいて、達也のボディーガードとなったのか?!達也は横山に合図を送った。横山が文哉と握手をした。そして、何も言わなかった。続けて皆の前で会場のビップルームに向かった。離れた後。宴会会場は元通りに賑やかとなった。文哉は皆の注目を集めた。親友の御曹司達がお世辞を言った。「文哉君、樋口社長を紹介することを忘れないでね」「会場では、文哉一人だけが樋口達也を知っているようだね!」「樋口社長とパイプが出来たら、僕たちを忘れないでね」文哉は表で謙遜したが、心では喜んでたまらなくなった。樋口グループは北城で財閥のトップで、財産は数えきれないほどあり、後ろ盾も凄くて、北城では皆が関係を構築したい存在だった。文哉が今晩達也と初めて挨拶する人で、光栄な存在となった。宴会後、このことが世間に知られたら、千葉グループの価値はまた上
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第38話

「でも、何ができるの!?」文哉が続けて揶揄った。「まだ......下町の人だ!」真弓は冷たく文哉を見て、話そうとしたが。達也が突然ホールから歩いてきた。真弓が目を向いた。文哉も見かけた。やってきた人が微笑んだ。文哉の親友たちも歩いてきた。「樋口達也」の傍の男が文哉に近づいたので、何か文哉に話そうと思って、皆が集まって、達也との関係構築にチャンスを見つけ出したいと思った。「文哉、彼は誰だ?」一人の御曹司が聞いた。この男の気魄が大きすぎて、身分を確定できなかった。文哉がちらりと見て、軽蔑に言った。「樋口社長のボディーガードで、昔は消防士だった」「そうか?」一人の御曹司が疑問そうにコメントした。「この時世の消防士はこんなにイケメンだったのか」「イケメンで何ができるの?」文哉があんまり気にしなかった。達也が文哉を睨みつけて、真弓に近づいて声を低くして言った。「和彦がこれからお爺さんについてくるので、彼を待ってってと言い伝えできたの」「いいよ」真弓が頷いた。「ちょっと忙しいから、行くね」「気にしないで」真弓が当然分かっていた。今日は達也の正念場だったので、対応する相手がきっと沢山いるだろう。達也が向きを変えて離れた。御曹司達が彼の後姿を見て、感心して嘆いた。「この格好ではただのボディーガードだったのか?!」このボディーガードの身元は簡単ではないだろう。その時。ホールがまた静まり返った。入り口に騒いでいた。大物がやっと登場した。皆の視線が入り口に向けた。樋口旦那様が車椅子に座り、皆に囲まれて入って来た。旦那様がよくビジネスサークルに出席したので、知り合いが沢山いたのは当然だった。旦那様が来るのを見て、皆は挨拶しに行った。瞬く間に、旦那様が人群れの中に消えて行った。真弓も一群れに向かって行った。「真弓」文哉が真弓の腕を掴んだ。真弓が眉を顰めて、力込めて振り払った。「身を弁えて、恥をかくのをやめてくれよ」文哉は真弓が旦那様に近づくのを見て彼女を止めた。「今挨拶に行くのは、目上の人達か、もっと目上の人達なんだ。君はいつからこんなルールを守らない人になったのか!」「私がルール知らないなど、君に指図される筋合いはない」真弓が離れた。文哉が拳を握り締めた。この
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第39話

真弓が和彦の手を取り、宴会の隅に向かった。ボディーガードが後ろについて、距離を置いていた。和彦が嫌いだったから。真弓が真面目に和彦にケーキを選んだ。「姉さん、子供も連れ込んだのか?!」瑠璃子が紀子をお供をしてデザートを食べていた。先ほど凄く怒っていたので、落ち着くには結構時間がかかった。また真弓に出くわした。「瑠璃子、お父さんに言われただろう。今日の宴会は特別で、失礼な行動を取らないでね。ひたすらでたらめなことをしたら、私が何か変わった行動をとるかもしれないよ」真弓が忠告した。真弓に言われて瑠璃子の顔色が一瞬変わった。真弓を怒らせることを敢えてできなかった。紀子は真弓を恐れなかったが、突然井上雄一が宴会に入って来るのを見かけて、急いで向かって行った。今宵ここに来る主な目的は井上雄一に会うためだった。雄一は樋口グループ傘下企業の風見メディアの知名度高い監督で、彼女がヒロインから替えられたドラマの監督だった。勿論、監督ではこんなレベルの宴会に招待されない筈だが、彼はもう一つの身分があった。孤児で旦那様に引き取られ、ずっと旦那様の傍で育てられ、旦那様に大切されていた。「井上監督」紀子が挨拶した。雄一が紀子を見つめた。同じエンタメ業界で、勿論知っていた。「千葉さん」雄一が挨拶した。「どうして急に私を替えたのか教えていただけませんか?」紀子が単刀直入に聞き出した。「これは会社トップの決断で、具体的な原因が僕も分からない」「監督は風見メディアの株主じゃありませんか?」「つまり、これは樋口グループの決断だ」雄一が説明した。「樋口グループ?」紀子の顔色が暗くなった。風見メディアは昔から独立運営していたじゃないか?!「まさか戸川がインチキをしていたのか?」紀子が呟いた。この前、戸川に詰問した時に、否認された。「もう一度戸川に聞いたらどうだ」雄一が対応したくないから、後ろの方向に指差した。 戸川と佐藤信夫が一緒に宴会の入り口から入ってきた。彼らはこのような真面目な宴会を参加したくないが、達也にとって非常に重要な場面なので、遅くなったが、皆がやってきたのだ。「井上監督」紀子が直接雄一の前に佇んだ。雄一が少し苛立った。とは言え、それは明らかではなかった。「監督と樋口グルー
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第40話

安田礼子の傲慢な姿を見て、紀子の顔が暗くなった。この女が今夜の宴会に来る資格があるのか?!まさか風見メディアのドラマのお陰で、彼女が旦那様の誕生日祝いに歌ったり踊ったりしてお祝いをするのか?!エンタメ業界では、紀子は無名だが、家族の背景があり、誰かを敬服することがなかった。一流俳優の安田礼子にしても。礼子がここまで有名になったのは、どのぐらいの人に闇ルールを使われたのか分からないほどだろう。こんな女に笑われる筋合いはない。「千葉さん、自愛せよ」雄一がメモをもらわず、一言を残して離れた。紀子が怒って体が震えた。今回の宴会で、彼女は大変腹立っていた。瑠璃子はこの時敢えて紀子に近づかなかった。怒らせるのが恐れるだけでなく、紀子が恥をかいたら、彼女まで巻き込むので、避けた方がよいと思った。丁度その時。ホールには主催者の声が響いた。誕生日パーティーが間もなく始まる。全ての人がステージの中央に目を向けた。和彦もデザートを食べてから迎えられて行った。「皆様今晩は。僕は今晩の司会者の高橋文生です。お忙しい中、樋口旦那様の古希の祝宴に来て頂き、誠にありがとうございます......」司会者が熱意を込めて宴会の挨拶をしていた。「これから、今宵の主役に来て頂きます。樋口陸様のご登場をお願いします!」会場には熱烈な拍手が響き渡った。樋口陸が達也に推されてステージの中央に来た。傍には真面目に立ったのは和彦だった。全ての注目が彼らに集まった。文哉の顔色が直ちに変わった。どんなに鈍くても、この瞬間の異常に気付いただろう。「瞬く間に俺は70歳になり、もう定年しなくてはならなくなりました!誕生日を機に、俺の孫、樋口達也を紹介させて頂きます。彼は今後北城に残しますので、是非ご支援のほどよろしくお願いします」旦那様の声が少し老けたが、言葉には重みがあった。つまり、樋口グループのことをすべて達也に託すとのことだった。司会者がマイクを達也に渡した。達也は会場の人達を見渡して、落ち着きがあり、イケメンで、本当に天下を取るような気魄だった。「皆様、樋口達也と申します」達也の声は低くて魅力的だった。文哉はこの瞬間、跪くところだった。彼は本当に樋口達也だったのかよ?!ずっと見下した消防士は樋口達也なんて?!
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