ボスのお子様を拾ってから身を任せた のすべてのチャプター: チャプター 51 - チャプター 60

100 チャプター

第51話

「真弓が樋口達也との曖昧の関係を隠さなかったから、君は瑠璃子との婚約のことも公開していいと思う。前では、ずっと真弓に邪魔されると思って、彼女に婚約解除を提出させるつもりで二人のことを隠したが、今は明らかにその必要はなくなった。このまま引きずって行くと、千葉家が笑われることになるぞ」文哉が頷いた。「瑠璃子に公開すると電話で話す」「瑠璃子と結婚式を盛大に行って、昨日潰された面子を取り戻して見せよう」康夫が昨日の話をすると、まだ怒りを抑えきれなかった。「分かった」康夫が話し終えて出て行った。文哉はすぐ瑠璃子に電話した。瑠璃子が目覚めたばかりで、ベッドに靠れたままニュースなどを見ていた。彼女も昨夜のニュースを探したが、結局文字一つも出なかった。まさか樋口グループは他のグループと違って、公開したくない限り、句読点さえ公の目に現れないのか。着信を見て、眉をひそめたが、結局電話に出た。「文哉君」「起きたか?」「目覚めたばかり」瑠璃子がわざとあくびをした。「夕べ何時に帰ったの?私は両親について帰った時、文哉君が見つからなかったよ」「夕べ遅かった」文哉はあやふやして、昨夜のことを二度と話したくなかった。「さっき父から、僕たちの関係を早めに公開しろと言われた」「何?」瑠璃子が少し興奮した。「どうした?公開したくないのか?」「いや」瑠璃子が急いで否認した。「姉さんが邪魔すると心配したじゃないか?彼女が乱暴すると、我が家と千葉家は簡単に収まらないと思うよ」「真弓が樋口達也と関係が出来たので、お邪魔してくると思うの?」文哉が言った。瑠璃子は唇を噛み締めた。 しかし、彼女はもう公開したくなくなった。それどころか、もうこの感情を続けたくなかった。真弓が要らないもの、急に旨味がなくなった。しかも、瑠璃子は新たな目標があった。「文哉君、ちょっと心配です」瑠璃子が言い訳した。「何を心配するの?」文哉は不機嫌だった。 「姉さんは強がりの性格で、私たちが関係を公開したら、わざと私達を中傷したらどうしますか?私は別にいいけど、文哉君に影響を与えるのが心配ですよ。だって、文哉君は千葉グループの社長ですから」瑠璃子が文哉の立場に立って親切に説得した。最近の真弓の強気を思うと、文哉は少しためらってきた。「姉さんとの婚約
last update最終更新日 : 2024-10-10
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第52話

週末明けに、また2日間の残業をした。真弓はオフィスに座り、完成したデザインドラフトを慎重に整理した。 彼女は設計部の人達に頼れないと分っていた。彼らは瑠璃子の見方だった。電話を手に取り、内線にダイヤルした。「金子、集団の役員と設計部主任以上の人達を30分後に会議室に集めて、次期新製品のデザインドラフトについて打合せする。無断欠勤許さない」「分かりました」30分後、星野グループの高級会議室。すべての幹部が時間通りに会議室に集まった。でも、表面的な服従にすぎなかった。問題がなければ、狙われなければ、それでいいと彼らが思った。彼らは普段、実務的な仕事をせず、星野グループが潰されて、真弓が追い出されるのを待っていた。「次期新製品のデザインドラフトが、設計部の皆さんの徹夜の残業によってやっと完成した。良かったと思う。今ここで幹部の皆さんに見てもらう」真弓は単刀直入で、無駄話がなかった。話が終わるやいなや、幹部の皆が囁き始めた。瑠璃子も少し戸惑った。設計部の人達はこの間、まったく設計しておらず、でも、真弓はドラフトが完成したと言った。スケジュールによると、今週決めないと、次の販売シーズンに間に合わなくなるので、瑠璃子が真弓の失脚を楽しみにしていた。瑠璃子が静かに真弓のドラフトを見てみた。一つ目のドラフトに、彼女が驚いた。その他の幹部も明らかに驚いた。星野グループの今迄の設計理念を完全に覆した。大胆に鮮やかな色と古代の花模様を完璧に融合して、また、国際的なトレンドと最適に合わせて、皆の目を一新させた。元々あらを探すつもりだった幹部たちが、この瞬間全部黙って、一言も言えなかった。設計部の幹部たちも呆気に取られた。これは彼らが星野グループで見た今までなかった最高レベルのデザインだった。いったい誰が設計しただろうか?!真弓は落ち着いて今期の設計理念を説明して、それから言った。「この間、努力してくれた設計部の皆さん、そして徹夜で設計してくれた社長、本当に有難う。財務部、今月設計部全員に4万円のボーナスを追加して、社長には特別ボーナス40万円追加してください」設計部と瑠璃子が突然褒められて、しかもボーナスも出してくれて、全く見当つかなかった。彼らはいつこの設計に参加したのか?その他の幹部も胸騒ぎし始めた。
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第53話

「安田礼子?!」瑠璃子が明らかに興奮した。「今の彼女は、演技もいいし、トラフィックもあります。エンタメ業界でとても人気高い存在ですよ。我が社は契約できるかどうか別にして、彼女の契約費が少なくとも10億円超えるので、払う余裕はありませんよ」「払えるかどうか考えないで、ただ安田礼子についてのコメントを教えて」安田礼子は確かに今のファッション業界での人気者で、彼女が普段着た服はすぐ流行ってしまうし、彼女が星野グループのタレントになれば、きっと会社のアパレル事業を一段と引き上げられると思った。「姉さんが気に入る人なら、きっと悪くはありません」瑠璃子が真弓に合わせて言った。でも、心の中で、真弓が礼子の契約を取れないと思った。「分かった」真弓が頷いた。「もういい、仕事に戻って」瑠璃子が真弓を見つめて、今日の真弓の行動が怪しすぎると思った。元々今日の設計のことを聞きたかったが、結局聞けなかった。今日の設計は遥かに星野グループのレベルを超えた。もし彼女が設計したと世に知らせたら、設計業界できっと彼女にブレイクする。でも、今聞いたら全てが台無しになる恐れがあり、惚けた方がよいと思った。瑠璃子が会長室を出た。「瑠璃子、ちょっと待って」真弓が出てきて彼女を呼び止めた。「どうしましたか?」「今日のことを内緒にして、決める前に誰にも話さないでね」瑠璃子が唖然として、すぐ正気に戻って答えた。「姉さん、安心して、分かります」真弓は微笑んで、瑠璃子の後姿を見届いた。彼女が離れてから、真弓は周りを一通り見まわした。周りにいた一人の社員が秘書室で何かを聞いたようで、明らかに一夫達のスパイだった。瑠璃子とのやり取りで、その他の幹部の注目を集めたようだった。これは彼女が望んだことだった。会長室に戻り、真弓は初めて考えた。瑠璃子と話したタレントのことは嘘じゃなかった。星野グループのアパレル事業のすべての面では特色がなくて、激しい競争の中で勝ち抜くために、内部の実力を付ける他に、広告面での工夫も必要だった。長い間タレントを替えると計画していた。しかも、安田礼子が随分前に彼女が見つかった適切な人選だった。すでに調べて、安田礼子はアパレル関係のタレントをしていなかった。引き合いが沢山あったので、いつでも横取りされる可能性があった。事業の前で、
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第54話

そう言えば、彼なら、紹介するどころか、無料でタレントの契約を取れる。「私にしてみれば、井上監督が最適の人選だと思います。」まゆみが確信して言った。雄一が断らなかった。「彼女の撮影のスケジュールを確認してから、また連絡させて頂きます。」「有難うございます」「どう致しまして」電話を切って、カメラの前に座った雄一が、丁度一つのシーンが終わり、休憩するところだった。「礼子の最近の撮影スケジュール表を取ってくれ」雄一が近くの助手に言った。「分かりました」スケジュールを真面目に見てから、雄一が立ち上がり、スタジオの隅に向かった。電話が通じた。「達也」「うん」「真弓から電話があった」雄一がぶっきらぼうに言った。「......」向こうが暫く沈黙していた。雄一が軽く微笑んだ。「礼子を紹介して、タレントの話をしたいと」「そうか?」「約束したが、意外がなければ今夜にすると思う」撮影が始まったばかりで、時間的に余裕があった。「彼女のことをよく知っているね」達也の声は冷たくて、歯を食いしばったようだった。「いや、普通の知り合いだ」雄一が笑った。「教えただけで、仕事に戻るね」電話が切られた。雄一がまた笑った。予想通りケチだった。携帯を収まって戻ろうとして、振り返って、礼子を見かけた。微笑んだ雄一を見て、礼子が無表情のまま通り過ぎて行こうとした。「礼子」雄一に呼び止められた。礼子が立ち止まった。「午後に二つのシーンがあって、大体4時ごろに終わる」「それで?」礼子が淡々と聞いた。「タレントの打ち合わせをしたい友人がいて、時間があれば夕食を一緒に......」「千尋と食事の約束をした」礼子がぶっきらぼうに断った。「タレントの話なら、直接エージェントと話をすればいい。エージェントの番号を知っているか?教えようか?」「お兄さんの友達だ」雄一が直接言った。「鈴木真弓」礼子が唖然とした。昨夜の祝宴で、彼女は隅に隠して、お爺さん、両親そして兄さん達のようにお客さんを接待しなかった。兄さんと真弓のやり取りを見ていた。兄さんは海外では長かったが、彼の私生活についてよく分かっていた。傍には女がいなかった。ただ......でも、あの女は兄さんと長年離れたので、一緒になる確率は低いと思った。だ
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第55話

午後2時、真弓が金子と一緒に北城の郊外の離れた撮影現場に行った。古代劇のため、現場では古代の建築が建てられた。スタッフの案内で、雄一を見つけた。雄一はカメラの前に座って指導していた。真弓を見て、礼儀的に頭を下げて、続けて仕事に専念した。真弓は邪魔せず、近くに座ってカメラを見つめた。この時、礼子とヒーローのシーンだった。役者がスタンバイしていた。「三番目のシーン、一回目ショット、スタート!」礼子はヒーローに強く壁ドンされて、距離の近い二人がお互い見つめた。真弓は撮影現場に始めて見学したので、役者が素早くキャラになり切るのを見て、少し感心した。特に礼子の演技、抑えた気持ちを目で徹底的に表した。次の瞬間。ヒーローの俊介が礼子の唇に近づいた。礼子が嫌い目つきで睨みつけ、暫くして黙認したように目を閉じた。涙が目じりから流れて来た。唇にぶつかった途端に、礼子が頭を向けて避けた。二人の役者もキャラから外れた。「カット」雄一が呼び止めた。「ごめんなさい」礼子が涙を拭きながらスタッフに向けてお詫びをした。このシーンはキスする予定だった。彼女のNGだった。「少し休憩して」雄一が言った。「次のシーンを撮影しよう」礼子は直接スタジオから出て来た。助手が前に出て、水を渡して心配そうに聞いた。「礼子さん、どうしたのですか?」「何でもない、ただ調子外れだった」礼子が回答した。「馴染まない二人がいきなりキスシーンを取るのはきつすぎるじゃないですか。礼子さん、リンダさんに監督と交渉して、キスシーンを少しあと伸ばしてもらいましょうか」「いや」礼子さんが言った。主人公に早くキャラになり切ってもらうため、キスシーンを早めに設定されるのが普通だった。彼女もよく分かっていた。これは馴染んでないことと何の関係もなかった。彼女の心理的な問題だった。「休憩室に戻って休みましょう」礼子が頷いた。向きを変えて離れようとした時に、少し馴染みのある人に気づいた。彼女は目が動いた。「鈴木真弓?」「初めまして礼子さん」真弓は率先して手を伸ばして言った。「画面よりきれいですわ」「真弓さんは役者にならなくてもったいないですよ」礼子が素直に言った。真弓はとてもきれいだと心から感心した。目
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第56話

真弓は深呼吸をした。公私混同しない、彼女はいつもそうだった。頭下げてショートメールの着歴を見て、無視することにした。洛田城。達也は樋口グループ支社のオフィスに座り、静かの携帯を見つめて、顔が暗くなった。傍にいる横山が大きく息を吸うことも敢えてできなかった。何があったか分からなかった。元々、今回の突撃審査で、支社の各項目に問題なくてよかったと思ったが、どうしてボスの顔色が暗くなったのか分からなかった。「横山」「はい」「明日朝の便を予約して北城へ戻る」「明日既に洛田城のキーパーソンとの食事を予約したじゃないですか?」審査と同時に、お客さんとの会食もついでにアレンジした。「明日夜の便で」達也が言葉を替えた。でも、明日に必ず帰る。「......分かりました」横山が丁寧に回答した。明日夜、食事終わったら深夜になるだろうと思った。若奥様のことだろうか?!洛田城に着いてからずっと携帯を見ていた。会議中にでも携帯の黒い画面をしょっちゅう見てぼんやりしていた......やはり恋に落ちた男は、普通の目で見てはいけない。......北城、撮影現場。改めてキスシーンを撮影し始めた。礼子が気分を見直していた。俊介が隣で一生懸命に礼子と話をして、できるだけ馴染んで、気まずくならないように努力していた。スタッフが話し出した。「三番目一回目のシーンの2回目のショット、スタート」二人の役者がすぐキャラになり切った。さっきのキスシーンの前の部分が使えるので、直接キスシーンに入った。俊介が礼子を壁ドンして、頭下げてキスしようとした。唇が近づいた瞬間......「ごめんなさい」礼子がまた避けた。俊介が気まずくなった。「カット」雄一が立ち上がり、礼子と俊介に向かって言い出した。「礼子さん、ちょっと来て」礼子が唇を窄めて雄一の後ろについて行った。二人が相次いでスタジオの隅まで歩いて行った。「キスシーンを削除してやるから、次のシーンを準備して」雄一が言った。礼子が驚いた。雄一に叱られると思った。どうせドラマのスケジュールを遅らせたから。雄一と協力したことがなかったので、今回、兄さんに強いられなかったら、彼に協力することはないだろう。でも、エンタメ業界はそう大きくなかった。噂
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第57話

二人はついにキスをした。ロングショットからバストショット、そしてクローズアップ。クローズアップのシーン、俊介の舌が礼子の口に入り込んで......礼子の体が少し震えて、拳がさらに力を込めたが、押しのけなかった。そして、「カット」を聞いた。礼子は俊介を押しのけた。もちろん、礼子が何を怒っているかを彼は知っていた。彼も自然にそうしただけだった。礼子が綺麗だけでなく、唇も柔らかくて彼がやむを得なくなった。監督に止められなかったら、礼子に押しのけられなかったら、彼はずっとキスしていくだろう。礼子が向きを変えて離れた。合格したかどうかを気にしなかった。俊介が追いついて言った。「礼子」礼子が振り返って彼を冷たく見つめた。「ごめん、さっき......」俊介がお詫びをした。歯を食いしばって続けて言った。「シーンを検討した時にもっと深入りして、そうするといい効果が出るし、二人がもっと早くキャラになり切ることができると監督に言われた」「舌を使えと雄一に言われたの?」礼子が冷笑した。この瞬間、礼子の気分がさらに悪くなったと俊介が突然気づいた。先ほどは怒るだけだったが、今は恨みに変わったようだ。彼女の目がこの瞬間真っ赤となった。「監督も効果のためだ」俊介が黙認した。「ちぇっ」礼子が笑った。さっきキスシーンを削除すると言って、すぐヒーローにセクハラをさせるなんて。早く雄一の偽りに慣れるべきだった。助手を連れて休憩室に戻って、化粧を落とし始めた。真弓はこの時、外の車で礼子を待っていた。先ほどのキスシーンも見ていた。勿論俊介がわざとした行為も目に見えた。錯覚かどうか分からないが、カメラの前の雄一の顔色が暗くなったように見えた。「お待たせしました」礼子が車に乗った。「とんでもないです。今日は元々暇なんですよ」真弓が丁寧に言った。「車を出して」真弓が運転手に目的地へ向かってもらった。レストランのビップルームに入って、礼子が帽子、マスクとサングラスを外した。座ったばかりにドアが開けられた。「千尋」礼子が叫び出した。千尋が入って、馴染みのない真弓を見かけた。「こっちは鈴木真弓です。兄さん......」礼子が少し止まって言い続けた。「タレントの打ち合わせで来たの」「いつからこんな
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第58話

「星野グループは父が経営していたが、少し前から私は引き継ぎました」真弓は重点だけ簡単に説明した。「素直に言うと、前の星野グループの服はごく普通でした。でも、これから異なります。これは来期のデザインで、礼子さんに見て頂きます」礼子が真弓を一瞥して、この女についてあまり知らないが、聞いたことがあったのは、この前の出来事だった。真弓は男に頼るタイプの人だと思った。どうせ、彼女が皆の前に現れたのはいつも文哉と一緒だったから。先ほどの話を聞いて真弓への見方を少し変えた。融通が利いて、さっぱりで、卑下せず自慢せずだった。噂を全く信じてはならなかった。礼子がiPadを受け取り、設計図を見て、目が光らせた。真弓と食事してタレントの話をすると約束したので、休憩室にいて暇つぶしの時に、星野グループの服装について調べて、全く取り柄がなかった。でも、今度のタレントを断れないとはっきり分かっていた。兄さんに強いられて受けるしかなかった。でも、今の設計なら、彼女の星野グループの服装についての印象を完全に覆した。「これからは異なります」この言葉は嘘ではなかった。「素晴らしいです」礼子が頷いて認めた。「もし礼子さんが星野グループの服装を認めて、当社のタレントになってくれるなら、契約費ついて打合せましょう」真弓が流れに任せて言い出した。「御社がいくら出せますか?」礼子が聞いた。「調べによると、礼子さんの普通のビジネスタレント代は約40億円前後ですが」礼子を見ながら真弓が言った。「星野グループがこの価格を出せます」「割引しましょう」礼子が素直に言った。真弓がびっくりした。「そうしないと足を打ち折られると思います」礼子が冗談を言った。真弓はもっと不思議となった。「50%割引して、私の市値は10桁が最低限ですから、それ以下ならエージェントが許しません。だから20億円で星野グループのタレントになります」そして礼子が補足説明した。「単独タレントですよ」そういえば、礼子以外のタレントが許されないとのことだった。真弓はびっくりするほど喜んだ。礼子が最大のサービスをしてくれた。今日の彼女は遥かに予想を超えた。一番多く思ったのは、礼子に一言で断られることだった。どうせ、夕べの樋口の宴会に彼女も現場にいたし、達也との曖昧なことを見られたし、この
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第59話

飲み終わって出て来た時に既に11時過ぎだった。「送っておく」真弓も飲みすぎてふらふらしたが、自分がアレンジした食事会で、彼女たちを家まで送るべきと思った。げっぷをして礼子が言った。「いいよ、千尋に送ってもらう。同じ方向だから」そう言って、礼子が千尋を連れて出て行った。真弓が後を追っていた。三人とも飲みすぎて、でも失態までは行かなかった。特に千尋がダントツにはっきりしていた。真弓は元々意志の強い人だった。でも、今日は礼子と始めて飲むので、良く付き合わないといけないと思った。また、礼子が飲むのが好きで、飲み始めたら止まらなくなった。しかし、千尋は礼子が狂って飲んだ時にでも控えていた。礼子と千尋が黒い車に乗った。真弓は彼女たちを見送って自分の車に戻った。後ろに座って、胃の調子が悪くなってきた。彼女は淡々と車窓の外の北城の夜景を見て、ネオンライトで夜空が輝かしく見えた。メールの着信音が鳴った。携帯を取り出して見た。ショートメールだった。「家に戻ったら蜂蜜の水を飲んで」真弓は返事をしなかった。ゆっくりと携帯を収まった。達也が離れてから毎日2、3通のメールを送ってきたが、彼女は全てを無視した。...... 車は樋口家邸に着いた。礼子が座席に靠れて寝込んだ。前の一秒に達也へ電話で真弓と飲み会して倒せたと誇ったが、すぐ豚のように寝込んだ。飲んでから直ぐ眠りに落ちて、目覚めたらすぐ元気が出る礼子を感心した。彼女は本当にお酒に合うと思った。車を降りて礼子を部屋まで送ろうと思った。一台の車が突然入り口に止まった。見てみると、雄一が運転席から降りて来た。雄一も彼女たちを見かけたようで、大股でやって来た。「どうした?」「礼子が飲みすぎました」千尋が言った。雄一が眉を顰めた。「宜しければ、彼女を抱え上げて部屋まで送ってもらいたいですが、私は無理でした」千尋が仕方なさそうに言った。「......分かった」雄一が言った。彼は車に近づき、腰を屈んで寝込んだ礼子を腰から抱え上げた。雄一が上品で弱そうに見えて、千尋が助けようと思った。でも、思わなかったのは礼子のおじさんが力強かった。「千尋さんも気を付けて帰ってね」雄一が優しく言った。「はい」千尋が頷いた。雄一が礼子を抱え上げて
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第60話

唯一が礼子を彼女のベッドに置き、離れなかった。頭を下げて、酔っ払った彼女の赤くなった頬及び赤く潤い唇を見つめた。今日、礼子のキスシーンの画面が頭に浮かんできた......彼の喉仏が動いて、細長い指で彼女の唇を優しく拭いた。唇の汚れを取ろうとしたようだった。真面目で長く真剣に拭いていた。彼女の唇が少し腫れるように見えた。指が離れた瞬間、雄一の体が屈んで、少しだけ屈んですぐ立ち上がり、出て行った。ドアが閉められた。熟睡した人の目尻から涙が流れ出たのを気づかなかった。......真弓の頭が少し痛くなった。二日酔いの朝の出勤は非常に辛かった。礼子のお酒は強かった。彼女が戻ってから、一晩で数回吐いて、とてもつらかった。ブラックコーヒーを飲んで酔いを覚めようとした。「会長、契約を用意出来ました。礼子のエージェントのリンダさんから電話をもらいました。今契約調印しに行ってもいいと言われました」金子が丁寧に言った。真弓は深呼吸をして、頭が破裂しそうになっても、椅子から立ち上がって言った。「行こう」昨日、礼子と付き合って、彼女が約束守らない人じゃないと見えたが、達也の関係があり、今回の契約はあまりに順調すぎてとても心配だった。実際に契約を調印してから、彼女が落ち着いた。「公式に発表する前に内緒にして」真弓は金子に注意した。勿論、礼子のエージェントのリンダさんにも約束した。「分かりました」金子が頷いた。幸いなことに秘書を替えた。さもないと、全てのことがばれてしまい、いろんな可能性が出て来るだろうと思った。真弓の目が引き締まった。グループの大部分の人が一夫の味方で、これは厄介なことで、どうすることもできなかった。......体の都合で、彼女は早く帰った。家に戻ってデリバリーを頼んで、食べてからシャワーを浴びてベッドに横たわった。いつも通りに携帯を取り出して見て、彼女はぼんやりとした。ラインを調べた。今日一日達也から何も届いてなかった。それでいい。始まりがなければ終わりもない。各自で自分の道を歩いて行こう。真弓は携帯を置いて寝た。とても寝心地がよかった。夢の中のように、ドアベルで目覚めた。彼女が目を開けた。窓の外は暗かった。町も非常に静かだった。
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