爽太と悠太は一瞬顔を見合わせ、それから少し困惑した表情で涼介を見つめた。「佐藤さん、もう夜の8時を過ぎていますよ。兄貴はまだ子どもですし、この時間はもう寝ているはずなので......ですから......」涼介は冷淡に爽太を一瞥した。「さっき、彼がまだネットで君たちと話していたと言ったじゃないか?」2人は再び視線を交わし、ため息をつきながら、仕方なく透也に電話をかけ、涼介が彼に会いたいと言っていることを伝えた。「いいよ」杏奈の家のベランダに座りながら、透也は冷たく笑った。さっきあかりからの電話で、クズ男とママがケンカしたって聞いたのに、今自分に会いたいと言っているなんて?よし、ママのために一矢報いてやる!そう考えた小さな透也は、電話を切ると、小走りでキッチンに行き、冷えたスプライトとパイナップルを取り出した。パイナップルを絞ってジュースにし、スプライトと混ぜ、そこに少し特別な調味料を加えた。それをカップに注ぎ、持って1階へ降りていった。しばらく待つと、黒いマセラティがやってきた。後部座席のドアが開き、涼介の冷たい顔が現れた。涼介は透也を軽く見つめて言った。「乗れ」車の後部座席に乗り込んだ透也は、いたずらっぽく涼介を見上げた。「おじさん、どうしてこんな夜遅くに僕を呼んだの?」涼介は前を向いたまま、冷淡に言った。「理由がいるのか?」「いらない、いらない」透也は目をキョロキョロさせながら、持ってきた保温ボトルを開け、わざと一口飲んだ。そして、思い出したようにボトルを涼介に差し出した。「おじさん、飲んでみる?」「僕が作ったジュース、おいしいよ!」運転していた白石は眉をひそめた。この子は本当に無礼だな!社長がこんなふうに、知り合いでもない子どもと同じ飲み物を飲むわけがなかった。涼介は潔癖症だし、あり得なかった!しかし、次の瞬間、涼介の行動に白石は驚愕して、思わず口を開けてしまった。潔癖症のはずの涼介が、そのジュースを一気に飲み干したのだ。一滴も残さずに。白石はショックを受けた。透也も驚いていた。ほんのちょっと涼介を懲らしめようと思っただけなのに......まさか全部飲むとは思わなかった。透也はどうしたらいいのか少し迷っていた。これを飲んだら、今夜確実に病院
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