共有

第067話

紗月は思わず息を呑んだ。

「そんなことはないわ!」

彼女は毅然と否定し、涼介に何も気づかれないように必死だった。

涼介は紗月をじっと見つめたまま、信じているとも、信じていないとも言わなかった。ただ、その深く底知れない目で彼女を見つめていた。

その視線に、紗月の心はますます不安に揺れた。

しばらくして、彼女は再び顔を上げて言った。「本当に、あの子とは何の関係もないよ

ただ......」

紗月は深く息を吸い、涼介の隣に立つ白石をちらりと見上げた。「白石さんだ。

白石さんが言ったんだよ。誰が佐藤さんに薬を盛ったのか突き止めると。もし私じゃないなら、外のあの少年だって」

紗月はわざと透也のことを冷たく突き放すように話した。「あの子はただのいたずらをしただけかもしれないわ。でも佐藤さんが本気で怒ってしまったら、あの少年には耐えられないと思うんだわ。

だから、お前が代わりに罪をかぶったんだな?」

「ええ、そう」

「ふん」涼介は薄く笑みを浮かべ、眉を軽く上げた。「ずいぶん子供思いな方なんだね」

紗月は微笑んで頷いた。「ええ。

私の一番の欠点だね。

そうでなければ、青湾別荘でメイドとして尽力して、挙句の果てには佐藤さんに襲われかけるなんてこともなかっただろうね」

紗月は「襲われかける」という言葉にわざと力を込めて言った。

隣に立つ白石はその瞬間、固まった。

彼はぼんやりと紗月を見、次に涼介を見た。

佐藤さんが......紗月に襲いかかった?

信じられない!

ここ数年、白石は涼介に付き従ってきたが、婚約者である理恵にすら一切の接触を持たなかった。

それが、紗月という女に手を出したというのか?

しかも、涼介の態度からすると、紗月の言っていることは嘘ではないようだ......

白石は混乱していた。

紗月が佐藤さんに気があると思っていたのに。

どうして先に手を出したのは佐藤さんの方だったのか!?

「お前、先に出て行って」

白石の驚きがあまりにも露骨だったため、涼介は不機嫌そうに眉をひそめた。

「はい!すぐに出ます!」

白石は急いで病室を後にした。

ドアを閉める直前、彼は突然振り返り、紗月に向かって「頑張って!」と励ましの一言を投げかけた。

紗月:「......」

涼介:「......」

何を応援してるんだ?

白石が出て行
ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status