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第070話

何も言っていないのに、どうしてすぐに当てられたのか。

「まず、君は桐島市にいったばかりで行ける場所が限られている。

それに、僕に場所を当てさせたということは、僕が知っているけど信じがたい場所だということだ。

最後に、その場所が君にとって興奮する面白い場所だから、すぐに僕と共有したくなったんだろう」

少年の声は幼いものの、その口調は成熟して冷静だった。「つまり、君が今いるのは佐藤涼介の家だね」

透也はすっかり落ち込んでしまった。

「兄ちゃん、こんな人と冗談を言い合うのは全然楽しくないよ」

「だからこんなつまらない冗談を僕に言うなって」響也は軽く笑った。

響也は軽く笑った。「で、どうやって彼の家に入り込んだんだ?」

透也は唇を尖らせ、今夜起こったことを響也にすべて話した。

「やっぱり君は少し軽率だったな」

響也は落ち着いた口調で言った。「幸い、ママがうまく処理したけど、もし失敗して涼介に君とママの関係がバレたら、これからの君たちの行動はすべて彼の目の前に晒されることになるよ。

彼は疑り深い人間だから、いずれは何かに気づくに決まってるぞ」

「わかったよ!」

透也は唇を尖らせた。響也が言うことは、彼が病院へ向かう車中で既に考えていたことだった。

しかし、今さらどうすることもできない。すでに薬を飲ませた後だし、それを吐かせるわけにはいかなかった。

「うん」

透也の性格をよく理解している響也は、故意にやったわけではないことを知っていた。

彼は透也と軽く諭した後、話題を変えた。「これからどうするつもり?」

「兄ちゃん。

今から涼介の家のIPアドレスを送るから、彼の書斎の監視と録音設備をハッキングできる?」

響也は眉をひそめた。「書斎に行くのか?」

「そうだよ。書斎だけじゃなく、重要な書類をすべてコピーして持ち出すつもりさ」

透也は目を細めて続けた。「ビジネスのことについて、僕にはよくわからないけど。兄ちゃんは詳しいから、僕が送る機密書類を見れば、どれが重要かすぐにわかるはずだよ!」

「君は......」

「最悪の事態に備えて」

透也は深く息を吸い、真剣な表情を浮かべた。「ママもあかりも感情に流されすぎているさ。

ここにいってだいぶ経つのに、何の進展もなかった。

ママは毎日のように涼介を憎んでいると言うけど、実際はまだ気にして
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