透也は、涼介の書斎から出てくるのに丸々1時間かかった。彼は慎重に自分の部屋に戻り、布団に潜り込みながら、響也にメッセージを送った。「兄ちゃん、監視と録音機器を元に戻してくれ」「うん」響也はシステムを操作しながらメッセージを返した。「なんでこんなに時間がかかったんだ?」涼介のファイルが大きくて多いにしても、ここまで時間がかかるとは思えなかった。透也はしばらく黙ってから、ようやくスマホを手に取り、返信した。「そのパソコンでいくつかのものを見つけた」「それは全部コピーしたから、他のファイルと一緒に送るよ」「それは、ママに関するものだった」「わかった」響也は透也の感情の変化に気づかず、簡潔に答えた。「システムはもう元に戻しておいた」「そっちも遅い時間だろうから、まずは休んで、明日起きたらファイルを送ってくれ」「わかった!」この一言を返信し終えると、透也はスマホを枕の下に置き、両手を胸の上で組んで、ベッドに横たわりながら真っ暗な天井を見つめていた。今までの彼は、ママの影響を受け、ずっと涼介は結婚中に浮気をし、ママを無慈悲に捨てたクズ男だと思っていた。しかし、そのパソコンで見たあれらのもの......透也は長いため息をついた。彼は涼介のことがますますわからなくなっていた。どうやら、自分が思っていた人物像とは違っていたようだ。まったく違っていた。......翌朝早く、紗月は家のメイドに透也を送らせた。杏奈がボサボサの髪でマンションの入口に立って待っていた。透也が車から降りるやいなや、彼女はすぐに飛び出し、透也の耳をつかんだ。「最近生意気になってきたね!」「夜中に私が寝てる間に外へ抜け出すなんて!」「紗月のところに行ったから良かったけど、他のところに行ってたら、どうやって紗月に説明すればいいのよ!」そう言って、杏奈は悔しそうに唇を噛んだ。「透也、約束して!これからは私が寝ている間に勝手に出かけたりしないって!」透也はボサボサの髪をしている杏奈に見て、仕方なく答えた。「わかったよ、もうおばさんが寝ている間に勝手に外へ出たりしないって誓うよ」「それならよし!」杏奈は透也の袖を引っ張り、「さあ、帰るよ。一緒に二度寝しようか......」透也はため息をつき、杏奈の手を引きなが
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