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第064話

しばらくして、救急室のドアが開いた。

医者が眉をひそめながら出てきて、「今日、佐藤さんが食べたり飲んだりしたものを全部リストにして、ひとつずつ調べましょう」と言った。

白石は困惑して聞いた。「どういう意味ですか?」

「彼は強力な下剤を飲まされています」

紗月は驚いた。

その下剤を仕込んだ人、言わなくても分かっていた。

桐島市に戻った前にも、透也が医者に「便秘がひどい」と相談していたのを思い出した。

彼女はため息をついた。

まったく、いたずらが過ぎた!

「それから......」医者は白石を冷たく見つめた。「彼の胃が弱いことを知っているはずなのに、どうして夜遅くに冷たい飲み物を飲ませたんですか?」

白石は呆然とした。

冷たい飲み物は、あの透也が佐藤さんに渡したものだ。

でも下剤は......

白石は深いため息をつき、「紗月、佐藤さんを見ていてくれ。今から執事に連絡して、今夜の食事を作った人たちを確認する」と言った。

話し終えた彼は、ふと思い返した。

今夜の夕食はみんなで一緒に食べたはずだった。

なのに、どうしてあかりも紗月も、自分も無事で、佐藤さんだけがこんな目に遭ったのか?

夕食が原因でないとすれば、残るは彼がその後に飲んだものしかなかった。

涼介は書斎で、紗月が淹れたコーヒーとお茶を飲んだ。

そして透也に会い、あの子が準備した冷たい飲み物も飲んだ。

となると......

白石は疑わしげに紗月を見つめた。「まさか、あの子が......」

あんなに小さい子が、そんな計画を考えるなんて無理だろう?

それに、佐藤さんに恨みを持つ理由なんてないし、前にあかりを助けたこともあった。

でも、もし透也でなければ......

「私だよ」

紗月は深いため息をつき、自分の息子の行いをかばうように言った。「前回のことを恨んで、私が佐藤さんに下剤を仕込みました」

白石の顔色が一気に悪くなった。

彼は紗月を鋭く睨みつけ、「何てことを......

佐藤さんは君に優しくしてくれているのに!

最近君が冷たくしても、佐藤さんは我慢して、あかりに君の気分は少しは良くなったかと気を使っていましたぞ。

それなのに、こんな仕打ちしますのか?

君には本当にがっかりですよ!」

白石は怒りをあらわにし、病室に飛び込んでいった。

叱られた紗月は廊下に
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