共有

第085話

「お客さまがおかけになった電話番号は、現在、おつなぎすることができません......」

郊外のアパートの下で透也は再び紗月の電話番号にかけたが、依然として信号がなかった。

彼は響也が特製したネックレスであかりに連絡を試みたが、それもつながらなかった。

透也は焦りながらその場をうろうろしていた。

30分前にママが電話をくれ、アパートにあるデザイン画を取りに戻ると言っていた。デザイン画が多すぎて、見つけるのに時間がかかるだろうと思った彼は、急いで杏奈の家から戻ってきた。

しかし、なぜかママやあかりと連絡が取れなかった?

透也は眉を深くひそめ、何かがおかしいと感じた。

どこにいても信号がなくなることは考えにくかった。

とにかく行動するしかなかった。

彼は深呼吸をし、鍵を手にアパートに駆け上がった。

だが、家に到着すると、前に見張りがいることに気づいた。

その見張りは、険しい顔で透也を睨みつけていた。

透也はすぐに隣の家に向かうふりをし、そこで電話をかけるふりをした。

やはり。

信号が遮断されていた。

透也は不安と感じた。

ママとあかりは部屋に閉じ込められているに違いなかった。

誰かが、二人が中に入ったあと、外から鍵をかけ、信号を遮断したのだ。

一体何を企んでいるんだ?

間違いない、これは理恵の仕業だ!

透也は歯を食いしばり、すぐに爽太に電話をかけた。

「涼介がどこにいるか知ってる?会社にいるの?」

「いや、受付によると市立病院に行ったらしい。彼のおばあさんが倒れたみたいだ」

「何かあったのか?」

透也は路上でタクシーを拾い、乗り込んだ。「ああ、問題が起きたんだ」

「すぐに指定した場所に向かって、状況が変わったら連絡してくれ」

「悠太には市立病院に行ってもらえ。僕は涼介に会わなきゃいけない!」

冷静だが緊張感のある声に、爽太もただならぬ状況を察した。「分かった、すぐに向かう!」

「頼むよ」

透也は電話を切り、タクシーの後部座席に体を沈めた。

運転手はバックミラー越しに彼を見つめ、興味津々に聞いてきた。「いくつだ?」

透也は気が進まなかったが、運転手が四五十代のおじさんであることに気づいた。

彼は唇をすぼめ、不本意ながらも「六歳だよ」と気さくに答えた。

「この団地に住んでるのか?」

「はい」

「最近は特に注
ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status