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第61話

橋本美咲は食べ物の甘い香りに誘われて、ぼんやりと目を開けた。氷川颯真が料理をしていたのだろうか?

美咲の混乱した頭が再び働き始めた。でも、ほんの少し前に食事をしたばかりなのに、どうしてまた新しい料理を作っていたのだろうか。

そして、彼女は急いでベッドから立ち上がり、喉が渇いているのに気づいた。ちょうど枕元のテーブルの上に水が置いてあるのを見つけ、それを手に取った。

まだ温かかった。美咲はそれを飲み干し、心の中で少し嬉しく思った。きっと氷川颯真が枕元のテーブルに置いたのだろう。

甘い香りに誘われて、乔橋本美咲は飲み終わった後、ベッドから降りて、スリッパを履いてから、キッチンへ向かった。

キッチンに着くと、見知らぬ二、三人が忙しく料理をしているのを見て驚いた。そして、氷川颯真はその様子を眉をひそめながら見ていた。中にはお茶を淹れていた者、ケーキを作っていた者、そしてお粥を煮ていた者がいた。橋本美咲が先ほど嗅いだ香りは、そのお粥から放たれていたものだった。

橋本美咲は少し驚いた。

入り口に立っていた橋本美咲は、すぐに氷川颯真の注意を引いた。そして、颯真は歩み寄ると、心配そうに彼女を見た。「体調はどう?」

橋本美咲は首を横に振った。「大したことないわ。以前800メートル走の後も、こんな感じになったことがあるし、ちょっと休んで、糖分を取れば元気になったわ。今回は、何でこんなに長く寝てしまったのか分からないけど、心配をかけてごめんね」

橋本美咲は少し後悔していた。氷川颯真は美咲の言葉を聞いて、ますます心が痛んだ。颯真は美咲の頭を撫でた。「おバカさん!」

彼は橋本美咲の体調について話そうとしたが、言葉が喉に詰まってしまった。

橋本美咲は氷川颯真の異変に気づき、鋭く彼に尋ねた。「一体どうしたの?」

氷川颯真は首を横に振った。「何でもないよ。後で二人だけで話そう」

それから、橋本美咲を料理をしているシェフのところに連れて行った。「僕が探してきた専属シェフだ。これから美咲の体調管理を担当してもらう。彼らの腕前は中々よ、ちょっと味見してみて」

そう言いながら、僕を褒めてというような目で、橋本美咲を見つめた。美咲は少し呆れた。料理を作ったのはあなたじゃないのに、どうして褒められたいの?

しかし、橋本美咲は機転を利かせて、その言葉を口に出すことはなかった。そして
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