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第174話

それだけ?それだけなの?氷川颯真、君はそれだけの理由で私の十数枚のデザインを却下したのか?

リチャードは信じられないという表情で氷川颯真を見つめると、思わず口から氷川颯真に対する不満の言葉が出た。

「Hikawa、君が間違っているよ。女の子が綺麗な服を着るのを制限するべきじゃない。それに、布地が少ないわけじゃないし、見せるべきじゃない部分はちゃんと隠しているんだよ」

氷川颯真は眉をひそめてリチャードを見つめ、不満げに言った。「僕の名前をフルネームで呼んでくれ、英語の名前で呼ぶな。それにお前のその服の布地、どこが多いんだ?見せるべきじゃない部分まで全部見せてるじゃないか。例えばウエストを見せたり、手首を見せたり、太ももを見せたり、肩を見せたり、もっと布地を増やせないのか?」

そうか。橋本美咲は問題がどこにあるのかを理解した。

彼女は無表情で氷川颯真を見つめた。

氷川颯真、自分が何を言っているのかわかっているの?

たとえ私はファッション業界の人間じゃないとしても、今時のドレスは女性の体を少し見せて、セクシーさを表現するのが普通だって知ってるわ。

仕事じゃなければ、普段、長谷川千夏と買い物に出かける時も、肩を見せるキャミソールワンピースを好んで着ていた。

でもその話を氷川颯真に言えるのか?言えないわ!彼女は氷川颯真に知られたら、外出するたびに服装を全部チェックされるのが恐れて、だから、橋本美咲は黙っていた。

一方、リチャードは非常に困惑して額を押さえた。「氷川颯真、君はあまりにも保守的すぎるよ。今時、女の子が少し体を見せるくらい大丈夫だよ。君の国の昔みたいに体を全部隠して、深窓の令嬢のように、家から一歩も出ないわけじゃないんだから」

橋本美咲は驚いた目でリチャードを見つめた。まさか、外人の彼がこんなに日本語が上手いとは思わなかった。さっきの一言で、いくつもの難しい言葉を使ったんじゃないか?

橋本美咲の驚いた視線に気づかず、リチャードは氷川颯真を説得しようとしていた。「君の奥様の体型はこんなに素晴らしいんだよ。それを引き立てる服を着ないなら、優雅なドレスを作る意味がないじゃないか?」

リチャードの言葉を聞いて、氷川颯真の怒りはますます募った。彼は橋本美咲の手を引っ張って、リチャードの別荘を出ようとした。

「わかった。それならこのオークションには参
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