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第16話

再び目を開けた時、消毒液の匂いが鼻を突いた。

私は不快感に身を捩り、それが亮介を驚かせたようだった。彼は赤く充血した目を開け、私が目を覚ましたのを見て、急いでナースコールを押した。

「大丈夫か?」

私は首を振り、ぼんやりとした感覚を振り払おうとしながら言った。

「大丈夫だよ!」

そして続けて聞いた。

「篠崎風はどうなったの?今、彼は刑務所にいるの?篠崎玲子は?」

「篠崎玲子は重傷を負い、上半身が麻痺している。篠崎風は車で橋に突っ込んで、腕を怪我し、逮捕された」

「でも彼は君をしっかりと抱きしめていた。君は無傷だった。」

「ただ驚きで気絶して、少し擦り傷を負っただけだ。」

私は内心少し驚いた。彼が本当に橋に突っ込んで自殺しようとしたとは思わなかった。だが幸い、彼は生きていて、罰を受けることができる。私はすでに死ぬ覚悟をしていた。こんな悪魔を道連れにできるなら、死んでも構わない。

しかし篠崎風は?

彼は私を愛していたつもりだったが、その行動は全く逆の結果を生んだ。もしかしたら、命の最後の瞬間に彼は真実に気づいたのかもしれない。

「篠崎風が君に会いたがっているけど、どうする?会う?」

「会ってみるよ」

亮介は私をじっと見つめ、しばらく黙ってから言った。

「前に君は協力すると言っていた。篠崎家は罰を受けた。これから君はどうするつもりだ?」

「どう思う?」私は彼を見つめてウインクした。

私がまだ幼いせいか、亮介は微笑んだ。

「君が清水葵だったとしても、伊藤家にずっといてもいいんだよ。君の前世の両親も、私がすでに手配しておいた。そんなに無理をしなくてもいいんだ」

「分かってる。でも、私の夢は科学者になることだから、今はまだ小さいし、これからたくさんの時間がある。だから、私はこの時間を無駄にしたくない」

「最終的な目標は星々と宇宙の果てまでだよ!」

一か月後、私は刑務所で篠崎風に会った。彼は憔悴しきっており、痩せこけ、片腕も失っていた。

彼は私を見つめると、突然笑った。

「葵!君はまだ俺を愛しているんだろう?そうでなければ、君は俺の減刑嘆願書にサインなんかしないはずだ」

そう、私は亮介に頼んで嘆願書にサインさせ、もともと死刑だった篠崎風は無期懲役に変わった。

私は微笑んで言った。

「篠崎風。お前は長年私を苦しめてきた。死ぬなん
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