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第11話

「幽霊がいる!幽霊だ!」篠崎玲子は目を見開き、私を見ながら一歩一歩後退していった。すると、伊藤亮介が用意した8段の大きなケーキが倒れ、彼女はその中に座り込んだ。

その瞬間、彼女の手がケーキナイフに触れたのを見た。

彼女は顔についたクリームを拭い、笑っている私を見つめながら、恐怖と混乱に駆られてナイフを私に向かって投げつけた。

その場にいた全員が、その光景に目を見張り、言葉を失った。

ナイフが私に当たりそうになった瞬間、亮介は一瞬で駆け寄り、私をその腕で抱きかかえた。ナイフは彼の背中を真っ直ぐに切り裂き、すぐに血が噴き出した。

「パパ…」私は小さな声でそう呼んだ後、「うわぁぁん」と大声で泣き始めた。

祖母は篠崎玲子を一蹴し、私のそばに駆け寄り、泣きながら私を抱きしめた。

私の泣き声と祖母の泣き声が重なり、屋敷の中は大混乱に陥った。

私が無事だとわかると、亮介はほっと息をつき、背中の痛みをこらえて私を抱き上げた。

亮介は振り返り、鋭い目で篠崎玲子を睨みつけ、力強い声で言った。

「篠崎玲子、離婚だ!お前が俺の娘を傷つけるなんて!」

篠崎玲子は泣き崩れ、狼狽しながら言った。

「お願い、あなた!わざとじゃなかったのよ、信じて!私は本当に…わざとじゃなかったの!」

亮介は冷たく笑い、彼女に一瞥もくれず言った。

「お前が何をしたか、ここには監視カメラがある。見るか?」

家には常に監視カメラが設置されており、篠崎玲子の狂気が証明された。

なぜなら、どんな母親も自分の子供を傷つけることはしないからだ。

ましてや、私はまだ1歳の「いい子」なのに!
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