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第5話

伊藤亮介は会社から家に帰り、スリッパに履き替えたばかりのところで、祖母がすでに篠崎玲子の行いについて不満を言い始めた。

篠崎玲子が私を「化け物」だと言ったことを聞いた瞬間、亮介の顔が暗くなり、「この女め!」と憤怒の声をあげ、そのまま階段を駆け上がっていった。

私は少し残念な気持ちになった。現場での大喧嘩が見れなかったからだ!

しかし、祖母はすぐに私を抱きかかえて亮介の後を追い、一緒に火に油を注ぐように煽り続けた。

さすが、私の素晴らしいおばあちゃん!

亮介が勢いよくドアを蹴り開けたとき、篠崎玲子は部屋で化粧をしていた。突然の大きな音に驚いて、玲子は涙を浮かべ、目を赤くして亮介に甘えた声で言った。

「あなた、おかえりなさい!」

彼女の声は可愛らしかったが、その顔には手のひらの跡が残っており、少し痛々しい。

私は心の中で、祖母がずいぶん強く叩いたんだなと感心していた。

だが、祖母は怒りの声を上げた。

「この小賢しい女め!よくも私を裏切りやがったな!」

亮介の表情は、一瞬、玲子に対して同情的だったが、祖母が私を抱えて篠崎玲子の方に突進し、彼女の顔を次々と平手打ちし始めると、彼の顔色は一変した。

亮介はすぐに祖母を止めようとし、「母さん、何も玲子を殴らなくても…」と彼女の手を掴んだ。

しかし、篠崎玲子はその場に呆然と立ち尽くしていた。

そして、祖母は怒りを込めて言った。

「このバカ!よく見ろ、これは何だと思ってるんだ!」
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