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第2話

初陽と出会ったのは、私が十四歳の時だった。

当時の私は、森本家の次女だった。

私は人売りにさらわれ、森本家に売られた。柚咲に顔が似ているという理由だけで。

彼女の両親は、誤って柚咲を失い、私を代わりに育てることにしたのだ。

初陽が初めて私を見た時、眉をひそめた。「顔は似ているが、雰囲気が違う。柚咲の感じがない」

彼は私を好ましく思わず、まるで他人のように扱った。

それでも、私は彼に好意を抱き、やがて恋に落ちてしまった。

その後、森本家は柚咲を見つけ出し、私は不要となり、外へと捨てられた。

未成年の私は、街を彷徨いながらほぼ一年を乞食として過ごし、痩せ細り、まるで十歳にも満たない子供のようだった。

そしてついに、母に出会った。

彼女は私の顔を拭き、優しく言った。「お腹すいてるでしょう?」

彼女が作ってくれたご飯は、私がこの世で食べた中で一番美味しいものだった。

私は母と共に暮らし始め、狭いアパートに住み、冷たい水でふやかしたインスタントラーメンを食べた。

母は貧しく、自由に使えるお金もなかったが、私を学校に通わせるために全力を尽くしてくれた。

私は柚咲と初陽と同じクラスだった。

彼らは誰もが羨む天使で、私はただの泥の中の土、皆に嫌われ、孤立していた。

ただ、初陽だけが時折、飲みたくないという牛乳を私に投げてくれた。「そんなに痩せて、どうするんだ。もっと栄養をとれよ」

それで私はまた何年も彼を好きでい続けた。

やがて、柚咲はある男性に恋をした。

彼女は彼のために、自分のすべてを捨てる覚悟を決めたが、結局、良い結果にはならなかった。

その夏、彼女は海辺でその短くも鮮やかな生涯に幕を閉じ、初陽に一つの玉のブレスレットを遺しただけだった。

柚咲は死に、彼女は皆にとって永遠の初恋となった。

初陽は半年間、酔いつぶれては正気に戻る日々を繰り返していた。

私がネットカフェでアルバイトしていた時、偶然彼と再会した。酔った彼は私を柚咲だと勘違いした。

私たちはセックスした。

目を開けると、彼は裸の上半身で窓際に立ち、煙草を吸っていた。

私が微かな音を立てると、彼は振り返り、まるで私を通り越して別の誰かを見つめるようだった。

「君、彼女に本当に似ているな」

「俺と結婚してくれるか?」

心臓が、一瞬止まった。

顔が一気に赤く染まった。

私は緊張しながら彼を見つめ、自分がただの替え玉だということすら忘れていた。

私が知っていたのは、私の全ての青春に存在した、長い間好きだった彼が、私に求婚しているということだけだった。

まるで神様の哀れみを得たように、私は完全に柚咲の代わりとなった。

あの柚咲が遺した玉のブレスレットは、私をつなぎ止める「犬の鎖」となり、私の手首に巻きついていた。

そしてもっと彼女に似せるために、初陽は私に百回以上の整形手術を受けさせた。

私は完全に柚咲の姿になった。

この顔で、初陽の一生を得られると思っていた。

しかし、ある日突然、柚咲が戻ってきた。

私の夢も、それで終わった。

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