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第15話

初陽は柚咲の遺体と共に、丸三日間を過ごした。

彼女の体が腐り、悪臭を放ち始めた時、初陽は別荘中を探し回り、私の写真を見つけようとしていた。

私の本来の顔の写真を。

だが、私はほとんど写真を撮らなかった。

残っている写真は、整形後の、ほとんど柚咲と見分けがつかない顔ばかりだった。

彼は狂ったように、ありったけの写真を引っ張り出し、一枚一枚比べては呟いていた。

「違う、違う......」

「彼女は一体どんな顔だったんだ?なぜ思い出せない?違うんだ......」

彼はほとんど狂気に陥っていた。

まるで頭がおかしくなったかのようにに、眠らず休まずに、私の本来の姿を思い出そうとしていた。

ついに四日目、別荘から漂う異臭が警察を引き寄せた。

母は警戒線の外に立っていた。彼女を見つけると、初陽は駆け寄ってきた。

「おばさん、汐音はどこ?汐音は来たの?」

母は哀れみの目で彼を見つめ、軽蔑の笑みを浮かべた。

初陽が警察に連行される時も、彼はなおも私の姿を探し続けていた。

だが、彼はもう二度と、私を見ることはなかった。
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