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第6話

柚咲の顔は血まみれだった。

母は初陽と子弥に押さえつけられながらも、むしろ嬉しそうに笑っていた。

「お前さえいなければ、汐音は死ななかった。くずはお前だ、くず――」

柚咲は顔を傷つけられ、母の叫びを聞いてさらに狂気に駆られた。

彼女は母を十数回平手打ちし、母は言葉も出せず、ただ血を吐くことしかできなかった。

歯までもが一緒に吐き出された。

柚咲は顔を押さえ、冷たく母を見つめて言った。

「チャンスをあげたのに、いらなかったんでしょ。今さら気骨なんて見せても意味ないわ」

初陽も激怒していた。

柚咲の顔にはほんの小さな切り傷ができただけだったが、それでも彼は彼女を気遣い、何度もアルコールで消毒していた。

まるで、私の顔に何度も傷を入れさせたことなど忘れてしまったかのように。

彼の好みに近づくためだけに、無数の切り傷を受け入れてきたのに。

初陽は柚咲の手を握り、必ず彼女のために復讐すると誓った。

そして、私のすべての持ち物を外に捨てるように命じた。

物は次々と山のように積み上げられ、母の目の前に置かれた。

その山の上には、何着かのセーターがあった。

子供用のセーターもいくつか混ざっていた。

それは私と初陽の最初の子供のためのものだったが、唯一の子供ではなかった。

流産の後、彼は煙草を吸いながら淡々と言った。

「いなくなったなら、それでいい。この子が生まれても、彼女には似ていなかっただろうし」

私は震え、恐怖に包まれた。そんな考えは間違っていると知っていながらも、子供がまた別の代用品になることが怖かった。

もし彼が生まれても、私と同じように整形手術を受け続けさせられ、彼の初恋の顔にさせられるとしたら、どうしよう?

その時、私は初めて彼から離れるべきだと思った。

しかし、母が病気になり、高額な医療費が必要だったため、その考えを捨てるしかなかった。

セーターの中には、母のものもあった。

編みかけのまま、もう完成させる機会は二度と訪れなかった。

編んでいる間、母は残り半分の毛糸を握りしめ、幸福そうな笑顔を浮かべていた。

「汐音、ママがいなくなったら、この服を着て棺に入れてね」

でも、残念だね、ママ。もうそれを着ることはできないよ。

母はどこから力が湧いたのか、突然駆け寄った。

彼女は叫びながら、編みかけのセーターを取り戻そ
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