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第13話

「君と佐藤良一はどういう関係なんだ?」

ついに彼は口を開いた。ただし、その目には詰問の色が浮かんでいる。

佐藤良一の名前を聞いて、心がチクリと痛んだ。だが、ただ最も辛い時期はすでに乗り越えたので、たとえ胸が痛んでも、それを上手く隠すことができる。

「関係なんてない、ただの他人よ」

以前の佐藤良一は、私の人生で最も大切な存在で、人生を共にするはずの人だった。しかし、今では彼とは赤の他人に過ぎない。

「そんな話、俺が信じると思うか?山本美香!」

彼の目は冷たくなり、声には怒りが滲み始めていた。

私は驚いた。彼が私の名前をどうして知っているの?確かに彼に自分の名前を教えたことはなかったはず。

「どうして私の名前を知っているの?私、言ったことあったっけ?」

私は彼の深く魅惑的な瞳を見上げながら、そっと聞いた。

「人を調べるのがそんなに難しいことだと思うか?それに、さっき佐藤良一の隣にいる女も君の名前を呼んでただろ」

彼は眉をひそめ、まるでバカを見るような目で私を見つめながら、低くてセクシーな声で言った。

「わ......私はもう行くわ。今日は偶然の再会だったし、さっきは助けてくれてありがとう」

そう言い終えたら、私はその場を立ち去ろうとした。しかし、再び墨田英昭は私を壁際に追い詰め、両手で壁に手をついて、私に近づいて来た。

この瞬間、自分の心臓がドキドキと高鳴っているのが感じられた。彼のハンサムな顔がこんなにも近くにあり、これで何も感じない方が逆におかしいだろう。

私は自分が佐藤良一以外の男性に近づかれることにはまだ慣れていないのと思ってた。7年間彼と付き合っている間、私は意識的に他の男性とは距離を置いていたから、今では男性との接触に戸惑ってしまう。

「これで行けると思ってるのか?」

彼はゆっくりと私に近づき、その声は低くセクシーで、言葉の一つ一つが私の心を打ち震わせた。

「な、何をするつもり?」

彼が近づくにつれ、私は息をするのもためらうほどだった。

「言え、君は今、俺に駆け引きをしているつもりか?」

突然、彼の目は冷たくなり、詰問するような口調がますます強くなった。

さっきまで少し動揺していた私だったが、彼の言葉を聞いた瞬間、怒りが込み上げてきた。駆け引き?何を言っているんだ?

「何のことか分からないわ。悪いけど、もう行くわ
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