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第21話

墨田英昭の目に真剣さが浮かんでいるのを見た、だからこそ私はますます逃げ出したくなった。あの日、お酒を飲みすぎて、ただクズ男の佐藤良一に仕返しをしたかったから。でも、酔いが覚めた後、すぐに後悔した。今になって、こんな男ともう一度関係を持つなんて、考えられない。

「別の条件にしてくれない?何でもするから、それだけは......」

私はぎこちなく笑いながら、後ずさりして墨田英昭から少しでも距離を取ろうとした。直感が私に、この男に完全に食い尽くされる危険があると警告していたのだ。

「選択肢があるとでも思っているのか?山本美香、俺が欲しいものを拒める女はいない!」

彼は一歩一歩私に近づき、その声には支配的な響きがあった。

内心、私は少し苛立っていた。この男はなんて傲慢なんだろう。確かに、お金もあるし、容姿も優れているが、だからといって全ての女性が彼と寝たいと思っているとでも?

私は後ずさりし続けながら、逃げるチャンスがどれくらいあるのか、頭の中で計算していた。

「前に言っただろ、俺のサイズとテクは良かっただろう?今夜ももう一度味わわせてやるよ」

墨田英昭はもう私のすぐそばに来ていた。彼の含みのある声と、欲望がきらめく瞳に、私はまるで屠殺を待つ子羊のような気分になり、逃げ出す力などまるでなかった。

「お願いだから、もう許してくれない?前のことは謝るから、大目に見て、今回だけは放してくれない?」

私は祈るような表情で墨田英昭を見つめた。私の認識では、男はみんな弱々しく見える女が好きなはずだった。私は決して清楚系ビッチではないが、今夜だけは何とかして逃れたかったので、気持ち悪さを我慢して、あえて柔らかくおとなしい姿を装った。

「山本美香、君普通に話せないのか?」

私のそんな態度を見て、墨田英昭の顔はすぐに険しくなり、見事な眉をしかめて、嫌悪感をあらわにした。

男はみんなこんなタイプの女が好きなはずだと思っていたが、墨田英昭はどうやら例外のようだ。今の私は、どうやら彼に不快感を与えただけだったらしい。

「放してくれるなら、普通に話すわ」

私は元の口調に戻し、真剣な目で墨田英昭を見つめた。本当にここから早く出たい一心だった。

「もう遅い。あの夜、先に手を出したのはお前だ」

そう言って、墨田英昭は大きな一歩で私の前に迫った。私は慌てて後ずさった。

「気
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