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第16話

おそらく私の態度が佐藤良一を激怒させたのだろう。彼は突然私を睨みつけ、その目には怒りと非難が溢れていた。

「佐藤良一、あなたが私を『安い女』と罵る資格がどこにあるの?安いと言えば、あなたの方が私よりよっぽどひどいわよ。安いほかにクズだ。私を裏切って、私の親友と一緒にいたんだから。それに、私たちの新居で!今さら私を非難する権利があるとでも思ってるの?何様だ?あなたが他の女と寝てもいいのに、私が他の男と寝ちゃダメって言うわけ?」

私は彼に向かって怒鳴りつけた。周りに聞こえるかどうかなんて、もうどうでもよかった。私は、佐藤良一が私の怒りの言葉を聞いた瞬間、顔が引きつるのをはっきりと見た。

「夢美とのことが君を傷つけたのは分かってる。でも、だからって簡単に他の男と寝るなんて、墨田英昭がどんな男か知ってるのか?」

佐藤良一の声は少し柔らかくなったが、まだ非難のトーンを含んでいた。

「墨田英昭がどんな男か、あなたに教えてもらう必要なんてないわ。佐藤良一、私たちはもう関係ないのよ。私が誰と寝ようが、あなたには関係ない。それに、これからはお互い他人だから。そして、あなたと彼女が早く別れることを祈ってるわ」

私は心の中の怒りを抑えながら、冷たくそう言い放ち、彼を避けてその場を去った。

彼が追いかけてこなかったことを確認して、内心で密かに決意した。もし彼がまたあの非難めいた態度で話しかけてきたら、間違いなくビンタを食らわせてやるだろう。それが彼にふさわしい罰だからだ。

でも、追いかけてこなかったので、ひとまずは許してやることにした。

佐藤良一のおかげで、せっかくの良い気分はすっかり台無しになった。最近は、ずっとストレスが溜まっていたので、今夜は自分を最後にもう一度だけ解放しようと決めた。

スーパーでビールを買い、大きな袋にスナックを詰めて、護城河のほとりに向かった。そこに着いた頃には、すでに夕方になっていた。

私は美穂に電話をかけ、一緒に飲もうと誘ったが、彼女はまだ残業中で、終わってからじゃないと来られないとのことだった。仕方なく、一人でビールを飲み始めた。

川面からの涼しい風が心地よく、私は一人でひたすら飲み続けた。お酒に弱い私は、すぐに酔っ払ってしまった。

ふと、気がつくと、一組の男女が言い争っているのが目に入った。男の方は......墨田英昭に見える。そ
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