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第3話

現場に到着した時、近所の人たちはすでに集まってざわざわしていた。

「なんでこんなに残酷なことを......」

「聞いた?凌遅刑で殺されたって、逃げられるわけないよね」

弟は怖がりながら母さんの後ろにぴったりとくっついていた。

母さんは数十年の解剖経験を持っているけど、あたり一面に散らばった肉片を見て、一瞬たじろいだ。

「どうしてこんなに肉片が......検査しないと、これが被害者のものかどうかもわからないわね。

この人、こんなにバラバラにされて......ひどいな」

母さんは冷静さを取り戻し、手袋をはめると声をかけた。

「みんな、少し離れて。ホルマリンがアレルギーの原因になるかもしれないから、検査チームが先に環境を清掃するまで待って」

現場の清掃、写真撮影、図面の作成、そして肉片の収集と冷凍。

母さんは責任感の強い法医学の先生で、一つひとつの作業を的確に進めていく。

その後、母さんはホルマリンの中にあった残された遺体を取り出した。

頭のない遺体。注意深く見なければ、その体の特徴すらわからないほどだ。

ホルマリンに浸されていたせいで、肌は青白く、生気を失っている。

「可哀想に......この子、一体どれほど怖かったのかしら」

遺体には凌遅刑の跡が残っており、合計で三千三百七十四回も刃を入れられていた。

胸と腹は完全に切り開かれ、胃の中には土と唐辛子のかけらが詰め込まれている。

四肢はバラバラに切り刻まれ、肉の塊と化していた。

それでも、最後の瞬間まで、この子は生き延びようと必死にもがいたのだろう。

瀕死の状態でも、足の指を何かに引っ掛けてでも、命をつなぎとめようとしていたんだ。

一体どんな残酷な人間が、こんなことをできるのか。

身元を証明するものは何もなく、遺体の正体はわからない。

「可哀想に......あれだけの刃を受けたなんて。

そういう子だったんだろうな。でなきゃこんなに酷い目には遭わないさ」

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