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第16話

母さんは感情が高ぶりすぎて、その場で気絶してしまった。

再び目を覚ました時、彼女はすでに二日後のことだった。

その時、母さんの顔はやつれており、まるで魂が抜けたかのような姿だった。

私の葬式では、母さん一人が孤独に冥銭を燃やしていた。

彼女は墓碑の前に跪き、私のモノクロ写真を見つめながら、ぼんやりと笑っていた。

小雨がぱらぱらと降り始め、その後はまるで滝のような豪雨になった。

「笑美は雷が大嫌いだった......こんな日は、きっと眠れないわよね。

笑美、あなたはきっと恨んでいるのよね。でも、母さんは本当に後悔しているの。だから、お願いだから戻ってきて。

あなたがいないと、母さんはもう生きていけない......」

母さんの言葉が耳に響くが、私の心には届かない。

生きている間、私はずっと弟よりも低い存在だった。

母さんはいつも弟を優先していたくせに、今さら後悔だなんて。

何のために?今さら後悔したところで、私はもう死んでいるのに。

「桜井さん、もう日が暮れてきました。そろそろお帰りになってはどうですか?」

一人の親切な警官が母さんに声をかけ、優しく支えようとした。

しかし、母さんはその手を払いのけて言った。

「私の子供はここに埋まっているのに、どうして帰れって言うの?」

そう言って、母さんはそのまま地面に倒れ込んでしまった。

次に目を覚ました時、母さんは病院のベッドに横たわっていた。

「笑美を......笑美を探さなきゃ......」

母さんはベッドの上で泣き叫びながら、無理にでも起き上がろうとしていた。

その姿はあまりに哀れで、周りの人が見れば、誰もが同情するようなものだった。

だけど、今の私には何も感じない。

もし次の人生があるなら、絶対に母さんの娘にはなりたくない。
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