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第15話

地下室に足を踏み入れた瞬間、強烈な血の臭いが鼻をついた。

なんと、安仁の家の地下には、干からびた遺体がいくつも転がっていた。

目に入るのは、彼がネットで騙して誘い出したり、直接拉致してきた女性たちの無残な姿ばかりだった。

彼は決して悪事を止めていなかったのだ。

さらに驚いたのは、家の中にたくさんの母さんの若い頃の写真が貼られていたことだ。

安仁は狂信的に信じ込んでいた。私さえ消えてしまえば、母さんは最後に彼と一緒になると。

だから、私を誘拐して殺したのも、母さんに似ているからだった。

さらに恐ろしいことに、彼は私を凌遅刑にした映像を何ギガものデータとして保存していた。

安仁は、その動画を何度も再生しながら、私が血を流していく様子を楽しんでいたのだ。

警察は安仁の書いた日記をめくり、その内容に顔をしかめた。

読むたびに、警官の表情はますます険しくなり、眉をひそめたまま日記を閉じた。

「こいつ、本当に人間じゃねぇ......」

「こんな残酷な奴は、何度でも殺されるべきだ」

私はふわりと近づき、その日記の内容を覗き込んだ。

そこには、私を凌遅刑にかけた詳細な記録がびっしりと書かれていた。

「顔に百回以上切り刻んで、彼女が最後の一滴の血を流すまで死なせるつもりだ。

終わった後、彼女をホルマリン漬けにして芸術作品にする。

ハハ、考えるだけで興奮するな」

母さんはその日記を見た途端、完全に崩壊し、絶叫を上げた。

「笑美......私の笑美......!

ごめんね、あの日あなたを放っておいたことが間違いだったのよ。

お願い、私が土下座するから、戻ってきて!」

母さんは地面にひざまずき、必死に祈るように泣き続けた。

その姿を見ても、私は心が動くことはなかった。

安仁の罪は明らかだが、母さんの偏愛が私の死を加速させたことも事実だった。

この不公平な人生、最初から悲劇だったんだ。
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