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第25話

笑いながらおばさんの肩に顔をうずめて、私は昔のように甘えた声で言った。「おばさん、もうこんなこと言わないでくださいね。私の彼氏が知ったら怒っちゃいますから」

その夜、私はベッドに横たわって長い間眠れずにいた。心の奥の痛みがどんどん広がっていくのを感じながら、私は歯を食いしばってじっと耐えていた。

夜が更けてきた頃、鈴木拓海からLINEが届いた。「本当に彼氏ができたの?誰なの?」

私はスマホの画面をじっと見つめ、何も反応せずに見続けていた。目が痛くなるほど長い間、ずっと見ていた。

彼が誰であろうと、少なくともあなただけではない。なのに、そんなに知りたいの?

私はスマホを無音モードにしてベッドの端に投げ、返事をしなかった。

私に彼氏がいるかどうか、誰であるかは私の問題であって、彼には関係のないことだった。わざわざ彼に言う必要なんてなかった。

翌朝、大きなクマを抱えて、私は高校時代の友人たちと一緒に山登りに行くことにした。

昨日のことがあってから、私はどうしても鈴木拓海に会いたくなかった。しかし、家が近いので、偶然に出会うことは珍しくもない。彼に会いたくないなら、外に出るしかない。これが私が山登りをする理由だった。

私は運動神経が良くて、山登りやハイキングのような活動が昔から大好きだった。

でも、鈴木拓海と距離を置くようになってから、急に変わってしまった。激しい運動が好きじゃなくなり、騒がしい人混みも嫌になった。一人静かに過ごしたくて仕方がなかった。

友人と一緒に山登りに行くよりも、静かな場所で読書やぼーっとする方が好きだった。でも、いろいろな人や出来事を避けるためには、この方法しかなかった。

準備をして家のドアを開けた時、ちょうど鈴木拓海が高橋明日香の腕を取り、靴を履いているところだった。

「拓海兄さん、嫂子(お義姉さん)」。なんてついてないんだろう、また会ってしまった。私は軽く挨拶をし、それ以上話すつもりはなかった。

「ちょうどいい時間だね。行こう。下で予約したタクシーが待ってるよ」

「えっ、一緒に行くの?」私は驚いて言った。

「そうだよ、君一人で行かせるわけにはいかないだろ?」鈴木拓海は斜めに私を見て、目にはからかいの色が濃く浮かんでいた。

私は心の中で冷たい風が吹き抜けるような感じがした。

ただの山登りなのに、どうして君たちが来
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