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第23話

「佐藤美咲、明日香は気が弱くて恥ずかしがり屋だから、仲良くしてくれよ。僕を失望させないでくれ」

私は彼を失望させるようなことはしなかった。でも、彼は本当に私を失望させた。

知り合って十九年、私はどんな人間か、彼は十分にわかっているはずだった。それなのに、彼は大勢の人の前で、まるで私が冷酷な人間であるかのように注意を促していた。

私はそんな人間じゃないけれど、本当にがっかりした。

私は「わかった」と言った。

叔父さんとおばさんは高橋明日香の家庭の事情を知っているようで、とても不機嫌だった。宴が始まってからずっと私に料理を取り分けてくれて、高橋明日香にはほとんど何もしていなかった。

高橋明日香は縮こまり、困惑していた様子で、鈴木拓海が彼女に小声で何度も慰めの言葉をかけていた。

私の両親は、これは鈴木家の問題だとして口を挟むことはしなかった。私も料理に集中し、自分が食べられるだけ食べることに決めた。

それは私が今までで一番退屈に感じた食事だった。

食事が終盤に近づくと、私は箸を置いて、外の小さなテラスに出て少し息抜きをした。

二人の愛し合う様子を見たくなかったので、自分から離れていった。

テラスは小さくて、場所も目立たなかった。私はそこに隠れて、見つかりにくいようにしていた。

しばらくすると、軽いけれど足音がテラスの外に止まった。見つかりたくなかったので、静かにさらに奥へと身を移した。

「拓海、あなた本当にどうかしてるわ。あの高橋明日香に一体何の魅力があるの?彼女の家の問題もあるし、あなたがそんなに夢中になるなんて。国営企業に就職するには審査があるわ。彼女の家庭がそれに通ると思う?彼女の家族も、個人の条件も、美咲には到底及ばないわ。どうしても彼女がいいって言うの?」

私は驚いた。まさかおばさんと鈴木拓海の会話を聞くことになったとは。

ここから離れたいと思った。これは鈴木家の問題であり、私は外部の人間としてあまり知るべきではないことだ。

さらに、これは明らかに盗み聞きだった。意図的ではなかったにしろ、話が漏れるのは良くないことだった。

しかし、テラスは行き止まりで、飛び降りでもしない限り、彼らが立ち去らないと、私はここから出られなかった。

鈴木拓海は、どうやら高橋明日香を深く愛しているようで、声を潜めながらもおばさんと激しく言い争っていた
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