第14話

そのことに気づいたとき、俺は初めて理解した。

俺が憎んでいるのは、宇佐美詩織でも彼女の母親でもない。

それは、心変わりした父だ。

しかし、長年の圧力の下で、俺はこのすべてが父のせいだとは言えなかった。

俺は埋め合わせをしたいと思った。

しかし、彼女の悲しげで虚ろな瞳を見たとき、何を言えばいいのか分からなかった。

俺は必死に会社の業務を学び始め、父からく小舟グループを引き継ぎたいと思った。

しかし、彼は「家庭を持ってこそ、事業が成り立つ」と言った。

幸い、俺は適切な人選を見つけた。

心に愛する人がいて、責任を押し付けられたい金持ちの家のお嬢様だった。

しかし、俺の結婚式では宇佐美詩織の姿を見ることができなかった。

志摩彩実は彼女が死んだと言ったが、俺はただ馬鹿げていると思った。

宇佐美詩織が死ぬなんて、あり得ない。

しかし、1ヶ月が過ぎ、

2ヶ月が過ぎ、

......

半年が過ぎた。

志摩彩実の子供は生まれたが、宇佐美詩織はまだ戻ってこなかった。

俺は完全に落ち着けなくなり、志摩彩実から宇佐美詩織の情報を得ようとした。

しかし、父は言った。宇佐美詩織の母親は決して第三者ではないと。

この知らせは、俺が何年も抱えていた矛盾と憎しみを大きな笑い話に変えた。

宇佐美詩織は何も悪くなかった。

悪いのは卑劣な謝行舟だった。

俺は墓石の上の宇佐美詩織を撫でながら、長年の悔いを感じた。

涙でぼやけた視界の中で、黄泉へ向かう宇佐美詩織が見えた気がして、必死に彼女の名前を叫んだ。

しかし、彼女は決して振り返らなかった。

最後に、宇佐美詩織は完全に消えてしまった。

俺はこれが本当なのか、それとも病的な幻想なのか分からなかった。

**

俺は6年の時間をかけて小舟家グループのすべてを整え、志摩彩実と一緒に母さんに宇佐美詩織がすでに亡くなったということを隠していた。

償いのために、俺はグループの大部分の流動資金を使って反家庭暴力基金を設立した。

このお金で、かつて母さんのように婚姻の泥沼に苦しむ女性たちを助けている。

これは宇佐美詩織が以前俺に提案したことだった。

そして、血がついた写真を持って、世界を旅することにした。

俺の最後の目的地はアイスランドだった。

そこは、宇佐美詩織と深い愛を交わしていた時に約束した、オーロラを