第12話

そう言って、彼女は失神した小舟茂を無視し、急いで寝室に向かい、大きな音で目を覚ました子供をあやそうとした。

しかし、私と志摩彩実は予想もしなかったことに、小舟茂も後についてきた。

彼は志摩彩実の腕に抱かれた子供を見つめ、笑顔を作った。

「本当に可愛いね。名前はもう決めた？」

「ここで無駄なことを言わないで。詩織に関することは、何も教えないから！」

志摩彩実は警戒心を持って彼を見つめた。

「この数ヶ月、お前は詩織に会いに行かなかったけど、彼女がお前を恨んでいないと思うの？」

小舟茂の低い声には病的な狂気が滲み出ていた、「教えてくれ、どこに埋めてたんだ？」

元々は気品があった彼の雰囲気が、突然冷酷に変わった。

志摩彩実の腕に抱かれた子供は何かを感じたのか、再び大声で泣き始めた。

赤ちゃんの泣き声は鋭く耳障りで、狂乱に陥っていた小舟茂を我に返らせた。

「ご、ごめん、わざとじゃないんだ。ただ、詩織に会いたかっただけなんだ」

彼は可愛い子供を抱きしめようと手を伸ばした。

しかし、志摩彩実は本能的に数歩後退し、彼を見つめる目には不安が混じっていた。

16

志摩彩実は最後に妥協した。

死者は既に去った。たとえ彼女が今私の埋葬地を隠しても、小舟茂は他の手段で見つけるだろう。

志摩彩実は彼を連れて私の墓地に来たとき、その小さな土手にはすでに咲き誇る花がいっぱいだった。

全部私の好きなバラだった。

熱烈で華やかだ。

空は小雨が降り始め、霧がかかっていて、少し寂しげで冷たい印象を与えた。

小舟茂は私の墓碑の前でひざまずき、微笑む私の顔に手を触れながら、つぶやいた。

「彼女は本当に俺に何も言葉を残さなかったのか？」

「一体何度聞きたいんだ？もう彼女を憎まないことを望んでいると言った。それができるのか？」

「俺はできない、どうすればいい？」

謝軽舟は、かつて彼と一生を共にすると約束した女の子が、どうしてこの世から消えてしまったのか理解できなかった。

「できなかったら、死ねばいいじゃない！」

志摩彩実は謝軽舟がかつて私に言った言葉を再び返した。

「初めの頃、詩織がお前を求めていた時、お前は彼女にどう接していたの？彼女は自分を失うほど卑屈になっていたのに、お前は何をした？

彼女をバカにしていたのはお前だし、今後悔しているのもお前だ。詩織を