第6話

私か？

私は手を上げて鼻を触り、ポケットからティッシュを取り出して拭いた。

しかし、今回は前よりもひどいようで、どうしても止められない。

「お前、熱でもあったのか？いい年なのに、自分の世話もできないのか？」

彼は嫌そうに私の手からティッシュを受け取り、私の顔の血を丁寧に拭いてくれた。

彼が私に対してこんなに優しく接しているのを見て、突然彼がわからなくなった。

今の私はきっとすごく醜いだろう。

深く凹んだ目の周り、青白い顔色、膨らんだダウンジャケット、血に染まった顔。

しかし、そんな私が、久しぶりに優しくしてくれた。

彼はいつもこうして気まぐれで、私が彼を諦めようとするときに少し甘い言葉をかけて、仲直りできる自信を取り戻させてくれる。

「これでいいか、次は俺に恥をかかせるな！」

彼はもう一度強調し、私がまた同じ服で彼の大事な日に出ることを心配している。

その言葉を言い終えると、小舟茂はもう私を見ず、歩き出して去ろうとした。

再び彼の背中を見ると、心の中に不思議な衝動が湧き上がった。

彼に私が病気だと伝えたい。

人世の最後の日々、彼にもっと一緒にいてほしい。

私は彼を大声で呼んだ、「小舟茂！」

彼は振り返り、冷たい池のような目が非常に深く、私に馴染みのある冷たさを浮かべていた。

私の勇気は突然消えてしまった。

その時、小見川美穂は親しげに小舟茂の腕を抱き、愛らしく笑いかけた。

「俺を呼び止めて、重要なことがあるんだろうな！」

「いいえ、私はただあなたをもう一度見たかっただけ」

私はどれくらい彼をこんなによく見ていなかっただろう？

彼はもう記憶の中のあの反抗的な少年ではなかった。

青さと無知を脱ぎ捨て、顔の輪郭はまるで神に精巧に彫られたようで、桃の花のような目がよく見えない感情で私を見つめていた。

「何言ってるんだ？本当に俺と関わらないつもりなの？お前たち母娘は俺に借りがある、一生返しきれないほどのな」

一生では無理なら、来世で償い続ければいい。

視界がぼやけ始めたが、彼の右手が無意識に指先を撫でているのに気づいた。

これは小舟茂が嘘をつくときの癖だ。

彼の目を見ながら、私は小さい声で「うん」と返した。

彼はもうすぐ結婚する。

彼に私のことで心配させたくない、たとえその可能性が億分の一であっても。

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私の