第4話

志摩彩実は涙を拭いながら微笑んだ、「うん、必ず」

ごめんなさい、私は嘘をついた。

私は心の奥深くで、自分の言葉を悔い、

唯一、私が余命短いことを知っている親友に嘘をついた。

私にはせいぜい一ヶ月しか残っていない。

5

疲れ果てて自分の部屋に戻った時、本来ここにいるはずのない人が現れた。

部屋の中は吐き気を催す煙の匂いでいっぱいだった。

ほぼ一日食事を取っていなかった私は、無意識にトイレに駆け込み、吐きまくった。

小舟茂の足音さえも、間に合わずに聞こえなかった。

私は半ば跪きながら、手を伸ばして水を流すボタンを押すと、思いがけず温かさを感じた。

「妊娠しているのか？いつ私の知らないところで遊んでいたんだ？野良子を連れて家産を分けるつもりか？」

彼は私の手を壁に押し付け、私の腹部を赤い目でじっと見つめながら身をかがめた。

「宇佐美詩織、もしまだ謝家に残りたいのなら、今週中にその野良子を堕ろせ！さもなくば、来月にはお前とその母親も巻き上げて出て行け！」

言い終わると、彼は私の手を嫌そうに放し、「こんなに瘦せていて、どこの変態が好きなんだ？」と言った。

嘔吐のせいで頭が鈍くなり、彼の言っていることが理解できるまでに時間がかかった。

つまり、小舟茂は私が妊娠しているから、産科に行ったと思ったのか？

それで彼はどうなのか？

彼はきっと小見川美穂が二人の愛の結晶を持っていることに喜んでいるんだろう。

でも、小舟茂の言葉で、数年前に子供を堕ろす決断がどれほど正解だったのかが分かった。

彼は私を好んでいないし、ましてや私の腹の中の子供を好きではない。

愛は屋烏に及ぶ、憎しみもまた然り。

期待されていない子供がこの世界に生まれると、苦しみが広がるだけだ。

私は干からびた腹部に手を当て、静かに呟いた。

「ごめんね、赤ちゃん、六年前はママが悪かった」

「黄泉の道で一人で大丈夫でいてね、ママもすぐに行くから、もう孤独を恐れないでね」

私は壁に寄りかかりながら立ち上がり、吐き出した血の跡を見つめて困惑した。

小舟茂、彼は見ていたのだろうか？

私は水を流し、口元の血を拭い、ゆっくりと浴室を出た。

しかし、小舟茂はまだ去っていなかった。

彼は静かに私のベッドの前に立ち、ベッドサイドテーブルの上にあった私たち二人の昔の写真をじっと見つめてい