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第50話 関谷家の危機

椿は、やむを得ずため息をついた。おそらく、自分の元妻も自分のことを同じようにクズだと思っているのだろう。

その考えが浮かぶと、椿はついにその名前も知らない元妻に対して少しの罪悪感を抱いた。泉ヶ原の西にあるあの家だけでは、傷を埋め合わせることはできないかもしれない。

そう思いながら、彼は海斗にメッセージを送り、人を見つけたら泉ヶ原の西にあるあの家に加えて、さらに二億円を補償として渡すよう指示した。

奈央は椿がこんなことをしているとは知らず、彼が立ち去った後、服を着替えて病院に向かった。

それにしても、椿......

さっきの不愉快な会話の後、彼はもう自分のところに来ないだろうと思っていた。

それで良い。静かで平和だ。

一方、関谷家の繁明は、満面の笑みを浮かべながらオフィスに座り、自社の株価が急騰しているのを見て非常に満足していた。

椿という大樹にしがみついてから、関谷家の発展はまるでロケットのようで、もともと無名だった小さな会社が、今や泉ヶ原で名の知れた上場企業となり、繁明は自分の成功に得意気だった。

唯一の心残りは、自分の娘が椿を落とせなかったことだ。もし宇野家に嫁げれば、富豪ランキングに自分の名前が載ることも夢ではないだろうに。

そう考えると、彼は少し悔しさを感じた。

悦子に電話をかけ、もう少し頑張るように促そうとした矢先、誰かが慌てて入ってきた。

彼の顔色が一変し、怒鳴りつけた。

「失礼な。ノックもしないで入ってくるとは何事だ!」

秘書は泣きそうな顔で、急いで謝罪し、ようやく口を開いた。

「関谷さん、大変です」

繁明の顔色が再び変わった。

「何が起きた?」

「まずネットを見てください」

そう言って、秘書は手に持っていたタブレットを繁明の前に差し出した。

ネット上では、関谷家がトップニュースとして取り上げられており、繁明は一目でそれを確認できた。

「関谷グループが脱税や財務不正などの問題に関与している疑いがある」

その記事には数枚の画像が添付されており、関谷家の財務問題が鮮明に映し出されており、国税庁や証券取引等監視委員会などの有名人アカウントもタグ付けされていた。

繁明の顔は真っ青になり、机を叩きつけるように手を振り下ろし、怒りをあらわにした。

「デタラメだ!これは中傷だ!」

「関谷さん、相手が出している証拠は.
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