第48話 元夫はどんな人

翌朝、奈央は疲れ切った様子でベッドから起き上がった。腹痛で一晩中苦しんだ後、寝坊して朝食を逃すわけにはいかなかった。

キッチンに向かって歩き始めた瞬間、ドアベルが鳴り響いた。こんな朝早くに誰が来たのかと不思議に思いながら、彼女はドアを開けに行った。

椿を見た瞬間、彼女は驚きで口が開きそうになった。

この男がまた何の用？

「朝食は食べたのか？」と椿が声をかけた。

奈央は首を振り、彼が何をしようとしているのか気になっていたが、椿はテイクアウトの箱を持って中に入ってきた。箱には「粥のあじ」と書かれていた。

「粥のあじ」は泉ヶ原の有名な店で、粥が特に美味しいと評判だった。彼女はずっと行ってみたいと思っていた。

それにしても......

椿がわざわざ朝食を持ってきたのか？

「食べて、まだ温かい」

椿は言いながら、粥をテーブルに置いた。

奈央は動けず、長い間その場に立っていて、ようやくこれが錯覚ではないことを確認した。

「まさか......わざわざ私のために朝食を持ってきたの？」

「深く考えないで。食べるついでにもう一つ頼んだだけだ」

彼は冷静な声で答えた。感情のこもっていない声だった。

彼女の考えすぎか？

奈央はためらいながら歩み寄り、目の前の熱々の粥を見て、まだ現実感がなかった。

「宇野さんがこんなに優しいだなんて思わなかった」

彼女の言葉には少し皮肉が込められていた。本気で椿が優しいとは思っていなかった。

しかし、椿は気づかず、口元に一瞬笑みを浮かべて、「君の目が節穴なだけだよ。僕は昔から親切だ」と言った。

奈央は心の中で「ふん」と呟いた。

二人は向かい合って粥を飲んでいたが、誰も何も言わなかった。

奈央は突然、昨晩調べた情報を思い出し、無意識に椿を見上げたが、ちょうど彼に見られてしまった。

「言いたいことがあるなら言えばいい」

彼は言った。

その様子を見て、奈央は遠慮なく言った。

「宇野さんは関谷さんと一緒にいなくていいの？彼女が嫉妬しないのか？」

椿はスプーンを置き、奈央を見つめ、珍しく真剣な顔をした。「僕と悦子はそんな関係じゃない。僕は彼女を妹のように見ている」

妹？

それは「情のある妹」の間違いじゃないの？

「二人の考えは一緒なの？」

彼女は尋ねた。

「どうして急に彼女のことを聞くんだ？」

椿は奈央