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第46話 ネットの出来事には裏がある

再びドアをノックする音が響き、椿は安堵の表情を浮かべ、ドアを開けに行き、すぐにもう一つの出前を手に持って戻ってきた。

「君は胃が弱いから、お粥を飲んだほうがいい」

そう言って、彼は出前を奈央の前に置いた。

奈央は頷き、特に拒否することもなく「それもいいわね。戦場ヶ原さんが頼んでくれたものは明日食べるわ」と言った。

その言葉が出た途端、椿は彼女の向かいに座り、堯之が頼んだ出前を手に取って食べ始めた。

奈央が驚きの表情を浮かべると、彼は不機嫌そうに言った。

「何?君に大きな借りができたんだ。出前くらい許してくれないか?」

奈央は苦笑しながら頷いた。

「いいよ。食べたいならどうぞ」

ただ、彼の行動に驚いただけだった。

二人は向かい合って座り、それぞれ目の前の出前を食べていたが、その場の雰囲気は少し微妙なものだった。

奈央は離婚後、まさか椿と一緒に食事をするとは思わなかった。それも出前だなんて、ますます奇妙に感じた。

ついに食事が終わり、奈央は椿に向かって「えっと......まだ何かあるの?」と尋ねた。

特に用がないなら、さっさと帰ってほしい、彼女はそう言いたかった。

椿は彼女の目に浮かぶその意図を読み取り、確かにここに留まる理由もないと感じ、立ち上がって襟を整えながら「帰るよ」と言った。

「うん」

奈央は頷き、彼を見送る準備をした。

椿がドアの前まで来ると、突然立ち止まって「霧島......」と言いかけた。

「何?」

奈央が尋ねた。

「いや、いい。また後で話そう」

実は奈央が彼を嫌う理由を知りたかったが、結局それを口にすることはできなかった。

椿が帰った後、奈央も笑顔を収め、ソファのそばに歩いて行き、携帯を手に取った。そこには和紀からの十数件の不在着信が表示されていた。

彼女は電話をかけ直し、「お兄」と言った。

「大丈夫か?さっき電話に出なかったけど」

和紀の声には心配が滲んでいた。

「オレと兄貴はもう少しで飛行機に乗って帰るところだったんだ」

「大丈夫だよ。さっきシャワーを浴びてて、電話が鳴ったのを気づかなかったの」

彼女は嘘をつき、遠く離れた国で彼らに心配をかけたくなかった。

「ネットのあれは一体何?」

和紀が尋ねた。彼は国内にいないが、ネットで起きていることは把握しており、心配していた。

奈央は事情を説明
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