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第21話 椿の隣にいる女性は誰?

翌晩。

ザ・ウィンディホテルでは、泉ヶ原で有名なBQ雑誌が主催するチャリティーイベントが開催されていた。

椿が到着したとき、ホテルの入口はすでにパパラッチや記者たちで埋め尽くされており、彼が車から降りるや否や、カメラのレンズが一斉に彼に向けられた。

「BQ雑誌の実力は本当に半端ないな、まさか宇野まで招待できるとは!」と誰かが驚きの声を上げた。椿がこのような宴会に出席するのを嫌っていることは皆が知っていたからだ。

「本当だ、中に入って見られないのが残念だ。今夜のチャリティーイベントはきっと華やかになるだろうに」と誰かが残念そうに言った。

「彼の隣にいる女性は誰だ?まさか椿の彼女か?」

椿が一人で来たのではなく、女性を連れてきたことに気づいた人がいて、人々が驚いた。

その言葉を聞いて、ようやく皆の目が椿の隣にいる悦子に向けられた。彼女を見過ごしたのはわざとではなく、悦子があまりにも普通で、目立たない存在だったからだ。

しかし、悦子本人はそれに気づかず、椿の隣に立ちながら、周囲の羨望の目に大いに満足していた。

「今夜は来るべきじゃなかった」

椿は言いながら、宴会場へと歩みを進めた。

「体はまだ完全に回復していないんだから、もっと家で休むべきだ」

「大丈夫だよ。毎日家で休んでいるのは本当に退屈だし、一緒に宴会に参加するのは気晴らしにもなるよ」

彼女は椿に笑いかけたが、心の中では笑っていなかった。

こんな場に来なければ、泉ヶ原の女達が何とかして椿を誘惑しようとするだろう。彼女はそうならないように、しっかりと見張る必要があった。

二人が会場の入口に到着したところで、川北編集長がその情報を得て出迎えに来た。

「宇野さん、まさかお越しいただけるとは、会場が一気に華やかになりますね」

彼が椿に招待状を送ったとき、来てくれると期待していなかったが、まさかこんなことに......

これで宴会のレベルが一気に引き上げられたわけで、主催者として川北編集長は当然のように喜んでいた。

「川北さん、冗談が過ぎますよ。BQ雑誌と宇野家がいつも良好な関係を保っているので、参加するのは当然のことです」

椿は頷きながら微笑んだが、口では社交辞令を述べつつも、その態度にはどこか冷淡な雰囲気が漂っていた。

「川北さん、こんにちは」

悦子は、自分が無視されていると感じ、心中で不快感を覚え、積極的に声をかけた。

川北編集長は一瞬驚き、ようやく彼女の存在に気づいた。なぜなら、彼女は椿の隣にいても存在感があまりにも薄かったからだ。

「こちらは......」

「妹です」

椿は答えた。剛志に代わって悦子を世話することを約束して以来、彼は彼女を妹として扱い、対外的にもそう紹介していた。

悦子の目に一瞬苦い表情が浮かんだ。彼女は椿の妹になりたくなかったのに!

川北編集長はなんとなく理解したように頷き、その後、「宇野さん、どうぞお入りください。宴会がもうすぐ始まります」と言った。

そう言うと、川北編集長は椿を宴会の最前列へ案内しようとした。そこは席が最も良く、慈善オークションが行われる際に、舞台上の品物を最もよく見ることができる場所だった。

その時、入口で再び騒ぎが起きた。

「大賀翔だ!」

「大賀翔?あの新進の富豪?」

誰かが尋ねた。

「そうだ」

相手は頷き、さらに「短期間でゼロから起業し、フォーブスの富豪ランキングに最年少の富豪として名前を連ねたのは彼しかいない」と続けた。

富豪ランキングには翔よりも若い者もいたが、例外なく家族の力を借りており、富豪ランキングトのトップである椿でさえも例外ではなかった。

「彼の隣にいる女性は見慣れない顔だが、新人の女優かな?」と、翔の隣に立っている女性を見た人が尋ねた。

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