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第0221話

夜の静寂が病室を包み込み、輝明がスマホの光を手元に向けると、綿が無意識のうちに彼の胸元に身を寄せていた。

彼は驚きながらも、「綿?」と彼女の名をそっと呼んだが、綿は返事をしない。

狭いソファの上で、輝明の背中はソファの背もたれに押し付けられ、綿が身を動かすたびに彼女が転げ落ちそうになるのを感じ、反射的に彼女を抱き寄せた。

これは夢遊病か?

……

朝が来て、大雨はすっかり止み、南城の空気はひときわ清々しい。

看護師が採血のために病室に入ってくると、ソファの上で抱き合ったまま眠る二人の姿を目にし、一瞬目を丸くしたが、邪魔をしないようにそっと退出した。

「カチッ」と音を立てて、ドアが閉まる。

綿は少し眉をひそめ、ゆっくりと目を開けた。目の前にあるのは、輝明の鋭い顔立ち。

彼女は驚き、体を起こそうとしたが、そのままソファから転げ落ちそうになった。

すると、突然腰がぐっと引き寄せられ、彼の腕が彼女をしっかりと抱きしめた。

輝明も目を開き、濃密なまつ毛が軽く震え、まだ寝ぼけているような低い声で、「今何時だ?」と尋ねた。

綿は一瞬固まり、自分がどうしてこんなところにいるのか、わからなくなった。

輝明は綿の清楚な顔を見つめ、喉がごくりと動いた後、少し目が覚めた様子だった。

「綿、寝ぼけていたのか?」彼は疑わしげに問いかけた。

綿は一瞬戸惑い、夢遊病だなんて考えられなかった。

「夜中に俺の胸に飛び込んできたのが、夢遊病じゃなければ、意図的にやったんじゃないのか?」彼は目を細め、探るように言った。

綿は口を開けたが、どう言い訳すればいいのかわからなかった。

「私…」綿はまつ毛を伏せて言った。「雷が怖くて、雷が鳴るたびに、よくお母さんの部屋に駆け込んでたの」

輝明はそれを聞いて、意味深長に「ほう」と応じ、「自分が雷を怖がってるって認めたのか?」

「人には誰しも欠点があるもの。恥ずかしいことじゃないわ」綿は彼を一瞥してから、起き上がろうとした。

彼女が動こうとしたその瞬間、輝明の手がまだ彼女の腰に置かれていることに気づいた。

「放して」綿が言った。

輝明は眉をひそめた。彼も手を放そうと思っていたが、この女性が寝相が悪く、彼女を抱いて一晩中寝ていたため、手がしびれてしまっていたのだ。

今、動かそうとしても動かせない!

綿はそのことに気づいたよ
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