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第39話

氷川颯真におやすみを言った後、橋本美咲は自分の部屋に戻った。ベッドに座って丁寧に髪を拭いた。

一日中遊んでいたので、疲れが徐々に押し寄せてきた。橋本美咲は少し眠そうにあくびをした。

髪を拭く動きがだんだん遅くなり、ついにタオルが手から落ちた。橋本美咲の体もゆっくりと倒れ、ぼんやりと目を閉じた。

しかし、ぐっすり眠る前に、携帯のベルが彼女を起こした。

橋本美咲は眉をひそめて、起こさせたせいで少し不満そうになった。手でベッドの上を探り回して、やっとある長方形のものを探り当てた。それを見もせず、感覚で応答ボタンを押した。

「もしもし?」

眠そうな口調で言った。

「バカ娘、数日も家に帰らないなんて、私に逆らうつもりなの?」

この一言で完全に目が覚めた橋本美咲は、ベッドから起き上がった。

「お母さん?」

電話向こうの人は、橋本美咲が寝ようが寝まいが気にせず、問い詰める言葉を次々に浴びせかけてきた。「私が母親だってこと、まだ覚えてるの!

「あんな男と一緒に出て行って、しかも、テレビであんなことを言うなんて、恥を知りなさい!」

橋本美咲はすぐに橋本美奈の言葉を遮った。「どういう意味?テレビで私が何か言った?」

橋本美奈はさらに不満そうになって、ますます激しい口調で言った。「何か言ったって?よくもそんなことを聞けるわね!

「テレビで言ったあれらの言葉、他人の前で言うべきことか?家の恥を外に晒すなんて、ますます調子に乗ってきたわね」

橋本美奈にこんな風に責められ、橋本美咲の怒りも湧いてきた。彼女は母親に向かって叫んだ。「どうして言っちゃダメなの?本当のことを言っただけよ!

「それに、あんな男って何?私の夫よ、もう結婚しているから」

電話向こうの橋本美奈は、美咲の言葉に怒りを覚えたのか、しばらく言葉が出なかった。電話の向こうからは橋本美奈の荒い息遣いだけが聞こえてきた。

しばらくして、さらに鋭い罵倒の声が聞こえてきた。「私はあんたのその夫を認めないわ!

「外でいい加減な男を連れてくるなんて、良くもできたわね。どうしてそんなに言うことを聞かないの?どうして妹を見習わないの?」

「妹を見習う?」

橋本美咲の声はますます嘲笑的になった。

「何を見習うの?

「彼女のように計算高く、人の夫を奪うことを見習えっての?」

「どうして妹をそんな風に言うの
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