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第34話

氷川颯真がそう言ったんだけど、橋本美咲はまだ少し心配していた。

会社を経営したり、金融を学んだりしたこともあったんだけど。氷川颯真が突然、このような大きな事業を彼女に渡したのは、本当に大丈夫なのか?しかも、結婚したとは言え、まだ1カ月も経っていなかった。

橋本美咲はあれこれを考えた。しかし、どう考えても、今直面していたのは事実だった。

目的地に到着した後、氷川颯真は手を伸ばして、橋本美咲を助手席から降ろした。橋本美咲はぼんやりして、氷川颯真の後ろについて目的地に入った。周りをよく見ると、驚いて言葉を失った。

信じられないように言った。「氷川颯真、私に見せたのは本当に会社なの?これはリゾート地じゃない?」

そうだ、今橋本美咲の目の前に広がっていたのはリゾート地だった。ここでは美しい景色が広がっており、広大な敷地を持っていた。遠くには、山もかすかに見えた。

「そうよ」氷川颯真は変わらぬ表情で言った。「これが僕の事業だ。僕の事業は規模が大きく、各業界にも展開していて、観光業はそのうちの一つだった。

「ここは僕がよく来る場所だった。疲れた時はよくここで休んでいた。

「うちの女主人として、美咲も知っておく必要があると思ったので、ここに連れて来た。ついでに、ここのスタッフにも顔を覚えてもらおうと思った」

橋本美咲はぼんやりと頷いた。

氷川颯真は橋本美咲をリゾート地の中にあったホテルのようなところに連れて行った。氷川颯真が女を連れて来たのを見て、受付嬢は驚いたような顔をした。

幸いなことに、彼女は基本的な職業人としての素養を持っていた。すぐ自分の驚きを抑え、いつも通りの仕事モードに戻った。

「氷川様、こんにちは。いつも通りですか?」彼女は素敵な笑顔を見せた。

氷川颯真は慣れてた様子で頷いた。「いつも通りだ」

そう言った後、急に止まった。隣にいる橋本美咲を思い出したからだった。

振り向いて、まじまじと橋本美咲を見た。橋本美咲は分からないままに彼を見返して、首を傾けた。

氷川颯真から見ると、その様子がとても可愛かった。そして、他人に対する冷たい顔を和らげた。

「美咲ちゃん、部屋に何か要望はあるかい?」

橋本美咲はちょっと考えた。「特にないわ。食事や寝る場所にはこだわりがないから、颯真に任せるわ」

氷川颯真は頷いて、受付嬢に言った。「聞こえたか?」

受付嬢はすぐわかった。「はい、かしこ
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