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第33話

その言葉に橋本美咲の顔は真っ赤になり、しばらくの間、言葉が出てこなかった。

そうだよ。すでに氷川颯真と結婚したんだわ。変態とは言えない。

そう思いながらも、橋本美咲はちょっと不機嫌になった。しかし、何に対して不機嫌なのか知らなかった。

橋本美咲の顔色が良くないのを見て、氷川颯真はにっこりなから言った。「しっかり座って、家に帰るわよ」

からかうのも限度がある。度が過ぎるとよくないのは、氷川颯真もよく知っていた。

しかし、可哀そうな橋本美咲は、自分が氷川颯真にからかわれていたことを知らなかった。自分がいったい何に対して悔しいのを、まだ真剣に考えていた。

氷川颯真が何を言ったのかもはっきり聞き取れず、ただ適当に返事をしただけだった。

氷川颯真は眉をひそめた。いい度胸だな。可愛い妻が自分を無視するなんて。そして、意地悪そうに、突然アクセルを踏み込むと、車が飛び出した。

まだ制限速度内だったが、さっきよりずっと速くなっていた。

氷川颯真の突然の行動に、橋本美咲は驚いた。「何してるの、何で急にこんなにスピード出したの?」

氷川颯真は悠然としていて、可愛い妻がやっと正気に戻ったのを見て、やっとゆっくりとスピードを落とした。

彼は落ち着いて言った。「可愛い妻が自分の考えに没頭していたから、ちょっとやいた。だから、美咲の注意を引きたかったんだ」

橋本美咲は苦笑いしながら言った。「こんな方法で私の注意を引くとは。もしスピード出し過ぎると、私たちは死んでたかもよ」

氷川颯真はにっこりと笑った。「安心して、僕がここで死んでも、妻を危険にさらすことはしない」

橋本美咲は何を言えばいいのかわからなかった。氷川颯真と会ったばっかりだったが、数日前、彼はこのような態度ではなかった。いつから優しい俺様社長から、このようなふざけた人になったのだろうと、橋本美咲は困惑した。

分からないなら考えなくていい。このままでいいんだよ。自分の男が自分に甘い言葉をかけるのが嫌いな女はこの世にはいなかったから。

橋本美咲は静かになり、運転している氷川颯真をまじまじと見た。

すると、何かがおかしいと気づいた。「氷川颯真、私たちはどこに行くの?」

氷川颯真はまた彼女をからかうと思った。「やっと気づいたか、美咲を売るつもりだよ」

橋本美咲は少し混乱した。

「冗談よ。これから、僕の事業
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