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第31話

長谷川千夏は白い目で彼女を見た。

「自分に聞いてみたら」

橋本美咲はさっぱり見当がつかなかった。どうして自分に聞くの?しかし、長谷川千夏がそれから話したことは彼女の疑問を晴らした。

「もともと、あなたに会いにいくつもりだったんだけど、でも、昨日母と大げんかして家を出ちゃったって聞いたわ。

「だから、急いであなたを探しにいった。いつも行く場所も探したんだけど、姿はどこにもいなかった。仕方なく、黒崎グループに行ってみたわ」

何か不快なことを思い出したようで、長谷川千夏の声はだんだん大きくなった。

「そしたらね、そこに着いた途端、すぐに黒崎拓也の厚かましい言葉を耳にした。もう、本当に腹が立つわ」

橋本美咲は眉をひそめた。「だから、喧嘩したの?」

長谷川千夏は頷いた。

橋本美咲は長谷川千夏に何か言いたかったんだけど、でも、それを言うのは良くないと思った。口を開けては閉じたりして、悔しくて顔が真っ赤になってしまった。

長谷川千夏は橋本美咲の親友なので、彼女のその様子を理解しないはずはなかった。すると、怒ったように口を開いた。「私に何か言いたいことがあるなら、直接言ってくよ。親友でしょう。そのまま話さないと、つらいのは美咲自分だよ」

長谷川千夏の話を聞いた橋本美咲はほっとした。すると、彼女は心の中で思ったことを全部話した。

「千夏、今度そういうことに会っても、もう頭を突っ込まないでね」

長谷川千夏は橋本美咲の話を遮ろうとしたが、彼女の心配そうな目を見ると諦めた。

「千夏は一人で、向こうは二人、しかも黒崎グループの前よ。万が一なにがあっても、千夏のところに駆けつけることができないわ。どうしたらいいの?」

長谷川千夏は黙った。少し納得がいかなかったが、でも、橋本美咲の言うことは正しかったと認めざるを得なかった。

彼女は力なく言った。「じゃあ次は、彼らが美咲を侮辱するのを聞いても、黙ってみってろってこと?

「そんなことできないわ!私の性格、美咲も知ってるでしょ」

橋本美咲はため息をついた。「知ってるよ、千夏。

「でも、千夏に何かあったら嫌なの。黒崎家は大きな力を持っているし、うちの家族も橋本月影を可愛がるから。もし何かあったら、千夏を守れないわ」

この言葉を聞いて、長谷川千夏は悔しさでいっぱいだったが、反論することはできなかった。ただ車の後部座
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