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第30話

「美咲のこと、ちゃんと世話してくれる?」

千夏の言葉が、車内の雰囲気を再び緊張させた。

「千夏、お願いだからもう言わないで!」美咲は心の中で祈った。

「もちろん、それは百パーセントのことだ」氷川は落ち着いた口調で言った。

その口調は平静だったが、決意がこもっていた。

この答えを聞いて、千夏の心配は少し和らいだものの、まだ完全に安心したには至らなかった。

「以前、黒崎拓也も同じ約束をしたけど、でも、彼は美咲を深く傷つけた」

千夏は黒崎拓也のことを話したとき、感情が高ぶった。

「すみませんが、私の問題に応えたてくれ」

氷川颯真は話し続けた。

「僕は美咲をちゃんと守るから、心配しないで、僕は実な行動で証明するから」

「口先だけの言葉は証拠にならなかった」

これを聞いた美咲は我慢できず千夏をを止める。

「千夏ちゃん!」

自分のためだが、美咲は少し不機嫌になった。

「美咲、私の話を遮らない、ほかの男に傷つけたくない」

「長谷川さん、僕は美咲のことを心から愛する。実には、僕は美咲に一目惚れした

「美咲と結婚した後、彼女の全てを調べさせた。そして、その真実を知った時、僕も心を痛めた」

彼は美咲が好きだから、彼女に関したことは何でも知っておく必要があった。

「だから、僕は将来、もし美咲を裏切ったら、僕の財産はすべて美咲のものになったと決めた」

彼が言ったことを聞いて、千夏は少し安心した。

「あなたって、思ったよりも頼りになったのね。それなら、私もあなたを信じるよ」

それを聞いた美咲は大変感動した。こんな誓いを立ててくれたのは、氷川は初めだった。

もし、今回こそ本物の王子様を見つけたのかもしれないと思った。自分の心を彼に完全に委ねたことができたと信じた。

彼女が自分を癒す時間を少し与えてあげてください。

お願い。

氷川颯はまるで美咲の心の内を見透かしたかのように、彼女に向かって優しく微笑んだ。

美咲も彼に微笑んだ。

「もういいから、二人のイチャイチャはそこまでにして、早く私を家に送ってよ」

千夏は二人の視線のやり取りをさっと遮った。

友達にからかわれて、美咲は恥ずかしそうに顔を赤らめて微笑んだ。

「でも、千夏、あなたはなぜ黒崎グループに行ったか」と美咲は千夏に訊ねた。
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