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第185話

丹波の宮殿には、美しさとわがままさを兼ね備えた少女が一人、怒りに満ちて部屋の花瓶を次々と壊していた。

彼女の顔には怒りが滲み出ており、壊れた花瓶の音に合わせるかのように、「私が本当の姫様じゃないなんて、どういうことなの?でも安心して、その殿下が戻ってきても、あなたの地位を脅かすことはないわ。あなたは変わらず、この宮殿の姫様よ」と不機嫌そうに呟いた。

怒りに任せて最後の花瓶を壊し終えた少女は、まだ怒りが収まらない様子で椅子にどさりと座り込んだ。

彼女は指を噛みながら、不安そうにと呟いた。「その本当の姫様が戻ってきたら、この国で私の居場所がなくなっちゃうんじゃない?」

「そんなの絶対嫌!私、宮中でこんなに幸せに暮らしているのに、なんで誰かに寵愛を奪われなきゃならないの?」決意を固めた姫様は、携帯電話を取り出し、すぐに電話をかけた。相手はすぐに電話に出て、敬意を込めた声で応じた。

「姫様、何かご用ですか?」

「手塚さん、私たちってもう二十年以上の付き合いになるわよね?」

電話の向こうの男性は、親しみを込めた声で答えた。「もちろんですよ、。私たちは幼い頃からずっと一緒に育ちましたからね。それで、今日はどんなご依頼でしょうか?」

「どうして私がお願いがあるってわかったのよ。もしかしたら、そうじゃないかもしれないでしょ?」

姫様は少し不満げに口を尖らせて言った。

「あなたが電話してくる時は、いつも何か頼み事がある時だからさ。だから、どうぞ率直に話してください」

姫様は満足そうに微笑み、甘えた声で言った。「手塚さん、本当の姫様が誰なのか調べてくれない?」

電話の向こうから、少し戸惑った声が聞こえた。

「お姫様、なぜそんなことをお調べになっているのですか?それに、王室からはすでに任務が下されているでしょう。そんなに急ぐ必要はないと思いますが……」

「彼女がどんな人なのか、早く知りたいだけ。それがいけないの?

「突然、姉が現れたなんて、私だって不安なのよ」

電話の向こうの人物はため息をついた。「分かりました、お調べします。

「ただし、王室より先にその姫様を見つけるのは難しいかもしれません」

それを聞いた姫様は眉をひそめた。

「大丈夫、王室が見つける前に、彼女が誰なのか教えてくれればそれでいい。ほかのことは心配しなくていいの。ただ、彼女についての情
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