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第151話

黒崎拓也の父親が黒崎グループを引き継いだ後、その状況は助手によって氷川颯真に報告された。

氷川颯真はパソコン画面上の黒崎グループの株式を見つめ、がっかりしたように口を鳴らした。予想していたほどではなかったが、まあ大体予想通りだった。

「今月のボーナスは守られたな」

助手はほっと一息ついた。

橋本美咲もようやく自分の書類の海から抜け出した。ご機嫌な氷川颯真を少し不思議そうにじっと見て、思わず尋ねた。「颯真、何か良いことでもあったの?とても機嫌が良さそうだね」

氷川颯真は橋本美咲の頭を撫でながら答えた。「奥さん、もし黒崎グループの半分近くの株式を君に贈るとしたら、どう思う?」

橋本美咲は呆然とした。

美咲はその意味を知っていた。氷川颯真がその言葉を口にした時点で、既に彼が黒崎グループの大半の株式を握っていることを。

彼女は思わず少し驚いた。「颯真、どうやってできたの?」

氷川颯真は首を振った。「大したことない。アイツが僕に敵対しようと思った時点で、既に結果は決まっていた」

氷川颯真のその態度に、橋本美咲は心から尊敬の念を抱いた。目をキラキラさせて颯真を見上げた。

「颯真、本当にすごいわね。そんな短期間で黒崎グループの半分近くの株式を手に入れるなんて」

「奥さん、まだ答えていないぞ」

氷川颯真は橋本美咲の頭を軽く叩き、不満そうに言った。

橋本美咲は自分の頭を押さえながら、悪戯っぽく舌を出した。氷川颯真の質問を暫く考えた後、断固として答えた。「黒崎グループの株式なんていらないよ。颯真が持っていて」

氷川颯真は橋本美咲を驚いたように見つめた。「黒崎グループの株式だよ。美咲に渡したら、きっと黒崎拓也の顔色がすごく悪くなると思うが」

しかし橋本美咲はそれでも首を横に振った。「もう黒崎拓也には何の感情もないわ。彼の家の株式なんていらない。むしろ汚いと思うわ。だから颯真が持っていて」

橋本美咲の答えを聞いて、氷川颯真は心から喜んだ。

橋本美咲たちの間の雰囲気はとても良かったが、黒崎グループの方はそうではなかった。

陰鬱な雰囲気が漂っていた。黒崎拓也の父親は怒り狂った表情で部下たちを見つめた。「一体どうなっているんだ、なぜ拓也が突然いなくなったんだ?!」

部下たちは自社の会長を恐る恐る見つめ、報告した。「私たちも社長がどこに行ったのか分かりません
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