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第130話

橋本美咲が言ったこれらの小さな問題は、本当にただの小さな問題だった。別に自分に言い訳をしているわけではなかった。

これらの問題はすべて、ただ難癖をつけていただけ。

橋本美咲は眉をひそめながら、投資家に電話をかけると、声を和らげた。「もしもし、木村社長ですか?

「美咲ちゃんの会社の責任者、橋本美咲です。

「突然のお電話で、お時間を取らせて申し訳ありません。しかし、御社が我が社の漫画への投資を、突然取り消した理由について、お聞きしたいのです」

電話の向こうから中年男性の声が聞こえできた。「突然の協力取り消しについては、申し訳ない。しかし、弊社は貴社の漫画が我々の要件を満たしていないと判断したため、投資を取り消させてもらった」

その言葉を言うとき、中年男性の声には冷たさが漂っていた。まるで橋本美咲の会社が何か大きな過ちを犯したかのようだった。

橋本美咲はまだ納得がいかず、このことをはっきりさせる必要があると思った。「一体どこが貴方の心にそぐわなかったのでしょうか?」

あんな小さな問題だと言われても、橋本美咲は全く信じていなかった。

電話の向こうはしばらく黙り込んだ。その後ようやく不機嫌そうな声が返ってきた。「君はどういうつもりなの?言ったじゃない。君たちの漫画は我々の投資理念に合わないって。

「まったく、パクリ漫画に何の価値があるというの?」

その言葉を聞いた橋本美咲は深く眉をひそめた。無意識に目を風間鈴音に向けた。

いや…そんなはずはなかった。風間鈴音の漫画は、美咲の目の前で、鈴音が一筆一筆、構想を練り、段取りを考え、コマ割りをして、描き上げたものだった。絶対にパクリの可能性はなかった。

美咲はすぐに電話越しに木村社長に言った。「何か誤解があるのではないでしょうか?我が社は設立以来、多少の損失はありましたが、パクリのような不正行為は一切行っておりません」

電話の向こうの人物も一瞬躊躇した。この会社の評判は彼も聞いていた。経営がうまくいっていないとはいえ、この会社が不正を行ったことは一度もなかった。だからこそ、最初にこの会社の漫画を選んだのだ。

しかし、今や…

「貴社の理念は信じているが、しかし、この件は事実だ。

「貴社の漫画は、月見会社のある漫画と、内容が非常に似ている。向こうのスタッフが証拠を提示してくれた。それによると、貴社が向こう
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