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第121話

この前、妻はどう言ったっけ?

勝手に嫉妬しないで。嫉妬すると彼女はとても怒るからって。

でも今見て、妻自身が何をしていたのか。大学のキャンパスに行って、昔の同級生の委員長と一緒に…

しかも彼のことをかっこいいと褒めた。自分が何を言っているのか分かっていたの?僕は彼女の夫だぞ。夫ってどういう意味?妻は知らなかったのか。

本当に頭が痛くなってきた。

氷川颯真は、最初は怒りたかったが、しかし、この前、妻が誤解されたときの反応を思い出した。

氷川颯真は心を落ち着かせて、優しく橋本美咲に言った。「奥さん、自分が何を言っているのか分かっている?」

橋本美咲は振り向き、真剣な表情で氷川颯真を見た。「もちろん分かっているわ。今日は楽しいことがあったから、報告しているのよ」

なるほど、先輩に会ったことが楽しいことなのね。

橋本美咲は身震いした。どうして背中に寒気を感じたんだろう。

「じゃあ、奥さんは、僕に会うのは嬉しいか?」

「もちろん嬉しいわ。私の夫だもの」

この一言で、氷川颯真の神経が落ち着いた。

颯真は少し安心した。なるほど、どうやら僕はまだ妻の心の中で、重要な位置を占めているようだった。

しかし、颯真はまだ真剣に妻の口から出た、その特に凄かった先輩の情報を探っていた。

「奥さん、その先輩とは特に仲が良いのか?」

橋本美咲は考え込んだ。「そうでもないわ。大学には1年しかいなかったし、その後はすぐに海外にいったから。私たちの関係は良くも悪くもないと言えるわね」

この言葉を聞いて、氷川颯真は少し安心したが、橋本美咲の次の言葉で再び心配になった。

「でも…」

でも何だ?早く言って、もう気が気じゃなかったわ。

氷川颯真は心の中で、そう思いながらも、表情には一切出さなかった。

「あの先輩が、私が学校に戻った時、すぐに私だと分かってくれたのには本当に驚いたわ。だって長い間、会っていなかったもの」

氷川颯真の心の中で警報が鳴り響いた。

たった1年しか同じクラスにいなかった人が、どうしてそんなに長い間、覚えている必要があったのか。明らかにその人は妻が好きに違いなかった。

ちくしょう!今回は嫉妬してもいい?颯真は橋本美咲を一瞥し、やっぱりやめた。後で妻がまた不機嫌になるわ。この世で一番偉いのは妻なんだから。

こういうことは僕が対処すればいい。

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